武装神姫を中心に、フィギュアレビューや、公式掲示板投稿のSS解説などをしております。

鋼の詩(はがねのうた)2 ~ダガー~

今回はご無沙汰になっていた鋼の詩(うた)の
2鎚目(2話目)です。
(予告していたものと違ってすみません~。)

あんまり放置しておくと
アニメ版純血のマリアに全部持っていかれそうなので~(爆死)

※この物語はオノマトペを多用した作りになっているので、
 人によってはわかりにくかったり、ビジュアルイメージがしにくいかもしれません。

※「物語はどーでもいい」という方は、武器コラムだけでも読んでみて下され。

【力の向く先 ~ダガー~

 それはある日の昼下がり。
 夕飯の買出しに出かけたレイさんに代わって、私が店番をしている時でした。

カラン、カラン。(ドアチャイム{鈴}の音)

「おい、おまえ!」
「ほえ?」(-q-)
 ぽかぽか陽気に カウンターでウトウトしていた私に、言葉のパンチが飛んできました。

「この店で一番安い武器をくれ。」
 声の主は10歳くらいの男の子。服装もボロボロであまり裕福そうではありません。
 そもそも未成年に武器を売ることは、組合(武器商人ギルド)で禁止されてます。

「え~っと、僕はどこの子かな?決まりによって未成年者に武具類をお売りすることはできないのですよ。」
 男の子に なるべき柔らかく笑顔で返します。お客様は神様なのです。

「お前だって子供じゃないか!」
 お決まりの台詞が返ってきました。グスン(TдT)
 そりゃぁ 人間から見れば私の背丈は子供でしょうけど…、
これでも今年22になる立派な『レディ』ですよ~だ!

「私はドワーフ族ですから、身長が低いだけです!子供じゃないですよ。」
「うそつけっ、胸もペッタンコじゃないか!いくら身長が低いからって胸までないのはおかしいだろっ。」
 少年の心無い台詞が、私の心にざっくり刺さります。
 ふぇーーん、気にしてるのに~! 。・゚・(ノД`)・゚・。

「と、とにかく売るわけには行きませんので、お!引!き!と!り!を!」
 カウンターから身を乗り出し、眉がピクつく作り笑顔で言い放ちました。

「チェッ、このケチ!ペチャパイ ブス~。」
 とんでもない悪ガキです。

「こンのぉ~~~!」
 私専用の高椅子の上に立ち、手を振り上げ身を乗り出そうとした所で、勝手口のドアが開く音。

ガチャリ

 どうやらレイさんが買出しから帰ってきたようです。
「ただいま~、店番ありがとね。」

 店の奥から現れるレイさん、私は椅子の上で『振り上げポーズ』のまま固まります。
「…何してるの?」
 あわわ、顔から火が出そうです。

「ふう、やっとまともな店員が出てきたぜ。お前みたいなお子ちゃま売り子じゃ 話になんねーよ!」
 男の子は『やれやれ』といったジェスチャーをとりました。
 台詞も仕草も一々おつむに来ます。


 私はムクレ顔をしながらも、男の子が武器を欲しがっている事を説明します。
 レイさんはちょっと困った顔をすると、買って来た荷物を私に預けて言いました。
「これを保冷機へお願いね。後は私が何とかするから。」
「え?でも、未成年に武器を売るのは規約違反じゃ……」
「断るにしても単に『規則だからダメ!』じゃ、この子も納得しないでしょ、とにかく任せて。」
「はぁ……。」
 真面目なレイさんのことですから、売るつもりはまったくないんでしょうけど、ちょっと心配です。
 私は気にしつつも奥の部屋へ引っ込み、夕飯のメニューをドワーフ手製の保冷機に詰め込みながら、
もれ聞こえてくるレイさんの説得に聞き耳を立てます。


「さて…、君はなぜ武器がほしいのかな?」
「もちろん護身用さ、別にでっかい武器じゃなくていいんだ。ナイフみたいなものでいい。」

「確かに小型のダガーもウチには置いてあるれけど…。」
「これで足りるか?」
 ジャラジャラと音がしました。男の子がコインを出したのでしょう、
音から察するに大量のルビド銅貨とトリド銅貨(ルビド銅貨より質の悪い銅貨)ですね。 
 農奴の子供は普通貨幣など持っていないので、農村ではなく 城壁内の子であることもわかります。

「金額的には足りるけど…ひとつ質問よ。」
「なんだよ。」

 終始怒り気味の男の子に対し、レイさんは少し間を空けて尋ねました。
「これで何をするの?」

 あくまで優しく落ち着いた口調です。私にはとても出来ません。
 その接客に感心しつつも、荷物の整理をつけて私も表へ戻ります。と、同時に男の子の粗ぶる声。

「だから護身用で、それ以外に使うつもりはねぇよ!」
 そう言ってはいるものの、この意気込みようはただ事ではありません。
 男の子の瞳には武器を欲するもの特有の鈍い光を感じました。これでは信用しろというほうが無理です。

 レイさんは静かに言いました。
「君が護身というからには多分そうなのだろうけど、力を求めて武器を手に入れようとしているわね。」

 私に分かるくらいですから、当然レイさんも軽く見抜きます。
 何千人もお客さんを見てきた眼力は、大抵の人心は見透かせるのです。

「ちぇっ、なんだよ。結局売ってくれないんじゃないか!」
「勘違いしないで、君が子供だから売らないんじゃないの。
このまま武器を持たせると君はきっと後悔することになるからよ。」

「もういいよ!……大人はみんな屁理屈ばっかり……ちくしょう!」
 うつむいて歯軋りする男の子を私たちは見つめます。

 その気まずい空気を払拭するためか、レイさんが口を開きました。
「いいわ、言っても分からないみたいだから、体で感じさせてあげる。」

 そう言うと、レイさんは愛用の皮手袋(レザーグローブ)と、
陳列棚の一番小さいダガーを一つ取りました。何するんだろ?

 私たちは促され、レイさんとともに外へ出ます。


 表へ出たレイさんは皮手袋を両手にはめると、ダガーのグリップを男の子の方へ向けて差し出し一言。
「私に手傷を負わせることが出来たら、それをあげる。でも、君が根負けしたらそのまま大人しく帰るのよ。」

 なんということでしょう、とんでもない勝負です!
 レイさんの防具は下碗部のみ、それも皮製です。時間は無制限。
 ダガーは小さいといえど刃物です。胸に刺されば軽傷では済みません。死ぬことだってあります。
 あまりの危険さに私は止めました。

「な、名、何を言い出すんですか!危ないですよぉ。」
「大丈夫よ、素人の使う武器なんかに私は傷つけられたりしないから。」
 軽くウインクで返してきます。たいへんだ~!(゜Д゜;)≡(;゜Д゜)

 確かにレイさんは武器屋の店員をするだけあって、大抵の武器の用法を心得ているみたいですけど、
武人でも兵士でもありません。レイさん自身も『素人』の筈です。

「遠慮はしねーぞ。」
 素人といわれてますます発奮する男の子。
 ダガーを持つ手を思いっきり上に振りかぶりながら突っ込んできます。

 振り下ろされるダガー。しかしレイさんはスルリと自身の左へと身をかわします。
 狙いを外された男の子はそのままよろけるかと思いきや、
『フェイントだ!』とばかりに、返す刃でレイさんを追います。

 しかし、これもあっさり右にかわされてしまいました。

 苛立った男の子は滅茶苦茶にダガーを振り回します。
ところが、いくら武器を振り回してもレイさんに当たる気配すらありません。

 よく観察してみると、ひとつのことに気づきます。
 レイさんは大きくうしろにさがるのではなく、左右の横へと逃げており、
それを追いかけてダガーを振る男の子は右や左に円を描いているのです。

 まるで南西の国の伝統行事『闘牛』を思い起こさせました。

 そこで私にもレイさんの狙いがわかりました。
 レイさん自身は、身を反転させてかわしているだけなのでさほど疲れませんが、
追いかけるように突進ばかりしている男の子は、歩き回るので当然疲れてきます。
 何十回も繰り返すと、肩で息をするような状態です。

「もう終わりかしら? 意外と根性ないわね。」
「ゼェ…ゼェ…ッ、なんのこれしきっ!」

 男の子が振り絞りように言って、またも突っ込んでの横なぎ…と見せかけての横突き。
 しかし、それすらもヒラリとかわされよろめきます。

 一方レイさんは男の子の右腕側に回りこむような体勢です。
 ダガーを持つ男の子の右手首を両手でつかむと、ストンと片膝をつき、つかんだ腕を下に引き下げます。

 男の子はつんのめるように前転。派手に回転して仰向けに倒れました。
 相手の勢いを利用した見事な投げ技です。

「まだ続ける? それとも、今度は剣でやってみるかしら?」
「流石にそれはマズイですヨォ!」

 更なる無茶を言い出すレイさんに、私は必死に止めます。ドキドキです。

「ハァッ、ハァッ、ハァッ、……ぃや…いい………ンな重いもんどうせ当たらねぇよ………。」
「少しはわかったみたいね。」
「悔しいけどな………。」

 幾分落ち着いた少年は、素直にダガーを差し出しました。

「こんなモンを持っても、使い方を知らないと 本当に強いやつには敵わねぇって事だろ。」
「それが解るってことは、君 結構頭いいのね。」
「うるせぇや!頭が良くったって腕力の強い奴には敵わねぇんだよ!
                …俺にもっと力があれば皆だって守れるのに。…畜生!」
 悔しそうに地面を叩く男の子。

 事情を聞くと、彼とその友達のグループは
街中でもっと年上の少年グループからいつも金品を巻き上げられているらしいのです。
 彼自身は喧嘩慣れしているようで 殴り合いになるだけで済んでいるようですが、
弱い子供たちは『仕方ない』と諦めて小遣いを差し出しているようなのです。
 それだけならまだいいのですが、
最近は折れない彼にナイフまで持ち出し、恐喝レベルになってきているとの事。
 いくら腕っ節が強くても、刃物の前には敵わない……男の子はそう考えたみたいでした。

「う~ん、そうねぇ。武器を売ることはできないけど…。刃物に対する対処法くらいは多少教えられるかな?」
「え~、危ないですヨォ。逃げるが勝ちです!」
 私は力をこめて言います。チキンの精神なのです!

「もちろん逃げるのが一番いい方法だけど、
 この場合、袋小路などに追い詰められて逃げられない時の話よ。」
 レイさんは『解ってないわね~』という顔をします。そして男の子にレクチャーを始めました。
 私も生徒気分で聞き入ります。


「素人なら大抵君のように武器を振り回すことをしてくると思うから、
 身を縮めて体の中心線は守ること。できれば体も真正面に向かず半身にしてね。」

 レイさんは立位から腰をかがめて両腕を体の前に立て ガードの姿勢、まるで拳闘士のような構えです。

「隙を見てこのまま相手に向かい 体当たりのすれ違いで抜けてしまって。」
「え……?」
 男の子のぽかんとする顔。『それだけ?』って感じですね。

「相手の目的は君を殺すことじゃないんだから、向かってくると多少はためらうものよ。
 それと刃物を恐れちゃダメ。切られるのは痛くて怖いけど、命をとられるよりはましだから怯まないこと。」

「へぇ……。」
 男の子はあまり納得している風ではないですが、関心しつつも聞いています。

「訓練をつんだ人間相手ならともかく、街中のゴロツキ程度ならこれで十分切り抜けられると思うわ。」
「そんなモンなのか?」
 男の子も半信半疑です。

「自分でダガーを使ってみて解ったでしょ?正しい用法が身についていないと意味がないのよ。」
「分かったよ、みんなに話してみる。」
 男の子は頷きました。

「ただし、突いてくる攻撃だけは注意してね。
 素人じゃ防げないし、切られるよりもずっと致命的な深手を負うわ。」

「その場合はどうするんだよ!」
「訓練をつまないと咄嗟に反応できないと思うけど、
 私がしていた様に 相手の攻撃にあわせて向かい、斜め前や横に踏み込むことね。 
 逃げることが目的だから 退路を断たれた状態で下がるのはダメ。」

 レイさんのその言葉には力がありました。
 突き攻撃の回避しづらさは私も知っているつもりですが、
レイさんの場合はもっと別な深刻な意味合いがありそうです。

「武器を持ちたがるということは、自分の力に自信がないということだから、
                              そこにつけ込んで切り抜けるのよ。」
「ははは、それが一番分かりやすいよ!」
 男の子は初めて笑顔を見せました。最初の仏頂面とは雲泥の差です。

 男の子が壁内へ帰るのを見送ると、あたりはすっかり夕暮れです。なんだか長い一日でした。


―― 数日後 ――
 例の男の子が数人の友人らしき子供たちを連れて、再びお店に現れました。

「あら、今日はどうしたの?」
 レイさんがやさしく尋ねると。少年たちは嬉々として一斉に話し始めます。
 同時に喋るので詳しいことは分かりませんでしたが、明るいニュースのようでした。

「あいつらが捕まったんだよ!」
「なんでも…調子に乗って大人を脅したらしいんだ!返り討ちにあって憲兵に突き出されたって!」
 男の子たちは矢継ぎ早にまくし立てます。

「やっぱりね…、いずれはこうなってしまうのよ…。」
 悪い子とはいえ、レイさんは悲しそうでした。
 私は『天罰てき面』とか思っちゃうのですが、薄情なのかなぁ。
 でも、嬉しげな子供たちを見るのは気持ちがいいものです。
 レイさんの顔も徐々に笑顔になりました。

「ねーちゃんありがとな!」
「あら、私は何もしてないわよ?」
 レイさんが不思議な顔をします。

「ううん、何もしてくれなかったから言うのさ。
 あの時 武器を売ってくれていたら、俺もあいつらみたいになってたんじゃないかなって思ってさ!」


 男の子はニカッっと、虫歯でかけた前歯が見えるくらいの笑みを浮かべました。



【ナナちゃんコラム ~ダガー~】
 ダガー(dagger)は武器でもあり道具です。
 その用途は攻撃だけではなく当時の日常生活品として多岐にわたります。
 固有の武器名というよりは、カテゴリー名としたほうがいいでしょう。

 部族によっては短刀等をもつことが成人の証とするところも多いようですね。
 私たちドワーフ族でもそういうしきたりが残っているところがあります。
 (私の家は鍛冶屋なので鎚{ハンマー}ですけど…。)

 ほとんどの方は『ダガーとは大きめのナイフ』程度に思っているかと思いますが、
実際のサイズは結構大きいものもあり、刃渡りが40サンチ(cm)に達するものもあります。
 逆手に持ち、腕に添えると刃先が肘の所に来る…位が一般的な長さの目安です。(約30サンチ?)

 ナイフ(knife)以上、ショートソード(short sword)未満ってところですね。
(このショートソードという概念も、近代の学者が分類のために言い出したものなので、
 あまり信用できないんですが、ここでは長さのイメージをしやすくするために使います。)


 道具としていつの時代にもあるものなので、その種類は千差万別。
 「部族の数だけある」といっても過言ではないかもしれません。

 材質も幅が広く、すべてをダガーとひとくくりにしてしまうのは少々無理があるような気がします。
 いずれ『えちぃ(スケベな)』ボロックナイフ(bollock knife)/キドニーダガー(kidney dagger)や
 慈悲の剣ミセリコルデ(misericorde)、
 決闘用のパリィイングダガー(parrying dagger)なども解説することになるとおもいます。

 用法は逆手に持つことが多いですが、
これは腰に帯びているダガーを抜こうとすると自然に逆手になるからで、
戦闘では順手のほうが有利である事が中世当時から判明しています。

 よって無意味に逆手に持つのは避けたほうがいいでしょう。
 皆さんの世界での軍隊ナイフ術も、基本は順手であることが普通なはずです。

 また、ダガー術は『ダガーを持ったレスリング』と形容されることが多いように、
近接格闘術と密接な関係があり、
単に持っただけではあまり戦闘力の強化にはならないことを付け加えておきます。

 小さな刃物は所詮『腕の延長』でしかないのです。
むやみに刃物を持ちたがるのは、『自分は弱い』と宣伝するようなものであると心得ておいて下さい。



【あとがき】
さて、二話めはかな~り地味な話…
扱うコラムも武器なのか道具なのかあいまいなダガー全般です。

コラムパートは武器解説になっていないよーな気もします…。
ぶっちゃ毛曖昧すぎて確定的なことがいえないんですよぅ。
よって、どちらかというと「使い方の解説」になっちゃってますね。


この鋼の詩という物語をやる上で困るのが、
ちっちゃい武器たちをどう登場させ、どうお話のメインに持っていくか…
という点です、いろいろ無理やりひねり出していますね。

もっと後に登場するミセリコルデやポニャードの回は意外にも派手だったりしますけど、
大体は地味な話ばかりです。


武器は戦うための道具なので、日常では出番がないこともあり、なかなか活躍させにくいです。
よって物語序盤は意識的に小さい刃物をメインにしています。
合間に大きい武器や、武器じゃないもの(ヱ?)を混ぜるよな構成ですね。


三話目はつかみの三話ということでバトルシーンがちょっとだけあるので乞うご期待。
(過度な期待はしないでください。)ヲイ…

PS:次回は予告どおりレゴのレビューとなります。
スポンサーサイト

テーマ : ブログ日記
ジャンル : ブログ

2015-03-05 : 鋼の詩(はがねのうた) : コメント : 0 : トラックバック : 0
Pagetop
コメントの投稿
非公開コメント

Pagetop
« next  ホーム  prev »

プロフィール

MITAKEN0

Author:MITAKEN0
F井県E市に生息中のキモヲタ。

好物は武装神姫、トランスフォーマー、LEGO、萌系フィギュア。
神姫NETの公式SS板でワンユニット師だった経歴を持つ。
無類の巨乳好き♡

なお、当ブログの映像、画像、文章等の
無断転載はご遠慮くださいな~。

訪問者数

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR