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鋼の詩(はがねのうた)6 ~弓~

鋼の詩6話は金髪巨乳エルフの登場です。
うちのお話でもエルフとドワーフの仲は悪いみたいですね。

武器解説は弓全般のお話。結構長いのでお覚悟ください。
ロングボウなど大型の弓は後々個別にやろうと思っているので
今回は軽くふれているだけです。

※この物語はオノマトペを多用した作りになっているので、
人によってはわかりにくかったり、ビジュアルイメージがしにくいかもしれません。

※「物語はどーでもいい」という方は、武器コラムだけでも読んでみて下され。


 

【金髪(ブロンド)の射手 ~ショートボウ~】

「レイさ~ん、納品する分だけ出来ましたよ~。」
 もう正午に近い、午前の終わり際のことでした。
 私は朝から取り掛かっていた量産品作成に一区切りをつけ、
レイさんにズッシリとした小さい木箱を手渡していると。不意にドアベルの音。

 カラン、カラン

「うっわ!古臭い店ね~。」

 すっごく失礼なことを言いながら入ってきたのは、弓を担ぎ 光り輝くブロンドをなびかせた女性エルフ。
 エルフらしく非常にスタイルが良い美人で、
いつも大きいと思っているレイさんの胸より、さらに巨大なバストが目を引きます。ブーブー!

 言動や見た目は若いみたいですけど…エルフは長命な上、老いも外見にはあまり出てこないので、
容姿で年齢を推測することは出来ません。意外とおばさんだったりして…。

「いらっしゃいませ~。」
レイさんが営業スマイルを振りまくので、私もつられて『にぱぁ~』とナナスマイル。

「ここって、鍛鉄の鏃(やじり)あつかってる?」
「はい、ございますよ。」
 レイさんはすぐさま丁寧に、弓矢コーナーへと金髪エルフを誘導します。
 その素早い対応はまさに店員の鏡なのです。

 お客エルフは矢がたくさん入った筒を見ると…
「あ…えっと、矢じゃなくって 鏃(やじり)だけ欲しいのだけど……。」
と、うったえます。

「鏃のみですか…。」
 レイさんがちょっと驚きの顔。
 それもそのはず…、今は分業化の時代です。
 弓兵自らが矢を作るなんて事は、田舎でもない限り あまりしなくなっているのです。

「あたし達エルフは、自分たちで作った矢しか信用しないのよねー。」
 むぅ、お店の品を信用できないというのですかぁ~!

「う~ん、当店でも鏃は作っていますけど…、ほとんどが軍部の矢作り職人への納入が主ですよ?」
「そう言うあなたの持ってるそれ…、鏃よね?」
 先ほど私がレイさんに手渡した木箱には、鋼鉄の鏃が200個入っているのでした。
 剣ほど作成は大変じゃないので、チョチョイと出来ちゃいます。

「これは明日、その 軍おかかえ矢作り職人に納める分ですので…。」
「ここって、専属の鍛冶職人がいるの?じゃあついでに作ってよ。そーきゅーに!」

 なんて図々しい!元々エルフ族は高慢チキで嫌いですが、このお客もやっぱり偉そうです。
 ドワーフ族とエルフ族は 昔っから犬猿の仲として世間では有名なのですが、
 その原因は絶対エルフ族側にあると思うのです!

「ええっと…ウチの職人にもスケジュールがありますし……。ナナちゃん、今後の予定はどう?」
 奥の私に向かってレイさんが訪ねてきます。
「あら?誰か居るの?」
 どうやら私の背が低すぎて、さっきから視界に入っていなかったようです。
ナナスマイルの無駄うちです…グスン。

「いらっしゃいませ~、先ほどから居ますよ~。」
 ムカッとしながらも、その感情を押し殺し カウンター前へ進むと再びナナスマイル。

「う…子供かと思えばドワ公だわ…。」
カチン☆

「ドワ公の作る鏃(やじり)なんて信用できるのかしら?
腕は良いと聞くけど…エルフ相手だと手を抜くって評判もあるわよね。」
 ムカムカッ!そんな酷いことはしないのです!

「しかも若い女…。
老齢の男ドワーフならともかく、こんなチビッ子女が作る鏃なんて実戦で使えるのかしら~?」
 上半身をずずいっと 私の顔に近づけ、いぶかしげな視線で睨み付ける女エルフ。

 もう一つおつむに来ることに  この女エルフが前かがみになると、胸の二つの双丘が重力に引かれ
『たゆん!』と、主張するかのように益々大きくなるのです。

 思わず牛エルフという単語が頭をよぎりました。 豊乳は爆発しろォ~!ヽ(`A´)ノ
(あ、レイさんも爆発しちゃうから、牛エルフだけ爆発すればいいです!)

鋼挿絵6話1縮小


「お客様がそう仰るのなら一つ試してみますか~?」
 眉をピクつかせながら私は提案します。
「あ~ら、勝負ってわけ?いいわよ。
私の要求に見事答えることが出来たら1割り増しの価格で鏃を買ってあげるわよ。
その代わりダメだったら、鋼鉄の鏃100個をタダでもらうわ!」
 明らかに不釣合いな条件を持ち出す牛エルフ、汚いのですぅ!

「あのー、お客様…、ウチの職人の無礼は謝りますから、勝手にそういうことを決めないで下さい。
ナナちゃんも変な勝負ふっかけないの!」
 レイさんに怒られちゃいましたが、これはドワーフ族とエルフ族のプライドの問題です。
 お店抜きで白黒つけねばならぬ事なのです。

「ごめんなさいレイさん。 鍛冶職人として、ドワーフ族としてこれだけは譲れません!」
「安心して、お店をどうこうするつもりはないから…。
 このドワ公が徹夜でタダの鏃(やじり)を100個作ればいいだけでしょ?」

 すでに勝っているつもりなのか、平然と言ってのける牛エルフ。 ムッカ~~~、絶対に泣かすのです!



 私たちはお店の横…私の仕事場の横の広場に出ます。
 レイさんは呆れて一緒には来ませんでした。
「まずはこの20×20サンチ(㎝)厚み3サンチの板ね。コレが5サロム(50m)の距離で貫通できるかどうか。」
 牛エルフは地続きの私の仕事場から、適度な板切れと杭を見つけ出し、即席の的を作ります。

「ばっ 馬鹿にしてるですかっ、青銅の鏃(やじり)でも抜ける厚みと距離ですヨ!」
「あ~ら、そうかしら?」

 牛エルフは私の用意した自慢の矢をみずからの弓につがえると、ギュッと引き絞ります。
 そして…

ヒュッ!……………………タン!。

 さすがはエルフ、矢は的のド真ん中で外しません。しかし、その音はあまりにもふんわりと軽いです。
 私たちは駆け足で的に近づきます。

「そ、そんなぁ!」
 矢は的に刺さってはいますが、貫通はしていないのです。
 普通の弓なら簡単に貫ける距離と厚み…コレは明らかに変です。

「はい、私の勝ち~。約束どおり鋼鉄の鏃(やじり)100個、タダで作ってもらいましょうか!」
「ぐぬぬぬ…こんなはずはないのです!私の鏃はこの距離なら余裕で抜けるはずですぅ~!」
 使用して下さっている兵士さん達のお墨付きももらっていますから、これは確信できます。
何かが変なのです。

「そんなこと言ったって、実際には貫けてないじゃな~い?
 それともドワーフ族ってのは 自らの負けも認められない卑怯な種族なのかしら~?」
 ニヤニヤと勝ち誇る牛エルフ。その額に的の円を書き込んで射抜きた~い。

「ちょっと弓を貸すのです!」
「おじょーぎわの悪いことを…。 いいけど細工なんか何もしてないわよ、魔法とかも掛かってないし♪」
 受け取った弓を見ますが、本当に何もありません。出来のよい普通の弓です。

「それなら私が射て、抜けることを証明するのです!」
「ププッ、ドワーフが繊細な弓を使えるの~?
 ま、気が済むまでやれば…。 もし当たって貫通できたならチャラにしてあげるわよ。」
 ムキ~~~~~!何が何でも貫き通すのですぅ~。


 セオリーどおり左手で弓を構え、右手で弦を引きます。

「おりゃ~~!」
「そりゃ~~!」
「てえぇぇ~~~い!」


 小一時間ほど『10本矢を放っては拾いに行く』という行為を繰り返しましたが、恐ろしいことに一本も当たりません。
我ながら射手としての才能の無さに愕然となるデスよ…。

 それよりも弾いた弦が、ビシバシ左腕の内側を叩くので真っ赤です。ヒリヒリする~。
牛エルフの左腕が何ともないのはなぜ~?

「ナナちゃ~ん。お客さんが増えてきたからお店の方を手伝ってくれな~い?」
 鍛冶場の裏口からレイさんの呼び出しです。かといってこのまま負けを認めるわけにはいきません!

「ほらほら、ご主人様もああ言ってる事だし、いい加減諦めたら?」 ((たゆん))
 したり顔の牛エルフ。いちいち乳袋を揺らすなですぅ~!

「ヤです!当たりさえすれば絶対貫けるはずなんです!」
「はぁ~、根性だけはたいしたものね。その前に矢がボロボロで使い物にならなくなりそうだけど…。」



 それから再び小一時間。射って拾うを繰り返すも、やっぱり当たりません。
 ここまでやってみて分かったのは、弓というのは単に利き手で引いているだけでなく、
弓を持った方の手で 突っ張り続けるのも結構な重労働ということでした。

 私はドワーフ族ですから、腕力が牛エルフに劣るなんてことはありえません。
しかし引き絞り続けるという行為は思いの外疲れるものでした。

 なおかつ、照準動作(エイミング)中はその体勢を維持しなければならず、
単に放つだけなら重い投げ槍の方が楽なんじゃないかな~、などと思ってしまうほど辛いものなのです。

 だからといって 引きが弱いと矢は的まで届きません。
どおりで弓兵は子供の頃から弓の練習をするはずです。こんなの一朝一夕では出来ませ~ん。


「ふぁ~~~ぁ…もういい加減にしてよぉ~。眠くなってきたじゃな~い。」
 街中ならティータイムの時刻です。眠くもなりましょう。

「まだまだぁ~~!」
 日頃の鍛錬で体力だけは自信があります。一発だけでも当ててみせるのです!
「でぇぇぇ~~~い!」
 渾身の力を込めて何百回目だかの引き絞りをしたところで、背中越しにとてつもない殺気を感じました。

「ナ~ナ~ちゃ~~~ん、いつまでサボってるの!」
 いつもは見せない恐ろしい形相のレイさんがいつの間にか背後にいました。
出た~っ!レアな『般若モード』レイさん!

「あぅぅ…もうちょっとお願いですぅ~。」

ゴン☆

 返答の代わりに脳天に拳骨が飛んできました。

「ふぇ~~~ん、この矢が当たれば白黒ハッキリするんですぅ~。」
「ああン!もう面倒くさいわね!」
 レイさんは私から弓と矢をひったくると、びっくりするくらい綺麗なフォームで弓を引き絞ります。
ぎりりり……


そして。
ビュッ!……………………………パカーーーン!

「「…………………………………………。」」
 絶句する私達。その鮮やかさもさることながら、威力に驚きです。

 矢は的を貫通するどころか、その威力で的を真っ二つに割って吹っ飛ばしたのです。
 私も牛エルフも文字通り言葉が出ませんでした。

「何を驚いているの。ナナちゃんの鏃(やじり)ならこれくらい簡単に出来るでしょ!とにかくお店を手伝って!」
「あ~~~~ん、一族の名誉をかけた戦いが~~。」

 私は首根っこをつかまれて、そのまま引きずられてその場を去りました。
取り残された牛エルフだけが、キョトンとこの光景を見送ります。



 それから日没まではみっちり働かされ、暮れの6刻(午後6時)に閉店時のお店の掃除をしている時、
牛エルフは再びお店に入ってきました。

カラン、カラン。

「しょ、しょーぶはまだ付いてないですよ!」
 ビシッっとホウキを突きつけ格好良くキメます。

「ハぁ……、もう付いたわよ!」
 いまさら何を…といった感じの牛エルフ。
「ぐぬぬぬぬ~~~~。」

「お客様、申し訳ありませんが、今日はもう店じまいです。」
 奥のカウンターからレイさんが、ちょっと迷惑そうな歪んだ営業スマイル。

「見れば分かるわよそんなこと…、それよりアンタこそ何者?」
 牛エルフが急に鋭い目つきに変わります。
「はぁ…おっしゃる意味が分かりませんが…?」

「弓ってのはね、幼少の頃からずっと練習してやっと一人前になれる武器なのよ!
 弓兵はたいてい最初っから弓兵なのが常識。 途中で『弓兵になります!』ってわけにはいかないの!
私たちエルフ族だって、幼少の頃に弓かそれ以外の武器かを選択させられるっていうのに…。」

「それはまぁ…、そうでしょうね…。」

「そこらの町娘が、たかが5サロム(50m)とはいえ、ポンポン当てられるものじゃないのよッ。ましてや人間なんかに!」
 牛エルフは、レイさんに人差し指を向け 睨みつけます。

 たかが5サロムとか言ってますが、素人には2.5サロム(25m)すらムリだと思います。
 今回弓を引きまくって実感しました。
 エルフ族では、10サロム(100m)の的の中心が当てられないような者は、
剣士などに強制転向させられると聞きますから、すでに感覚が違うのでしょうね。


「私は幼い頃から先代店長や、現店長から教えを受けてますのでたいていの武器は使えます。」
「あら、あなたが店長じゃないの?」
 牛エルフがぷるるんと駄肉をゆらしながら驚きます。

「違いますよ。ウチはニャンコ店長のお店で、私は店番に過ぎません。」
 笑顔でさらりと流すレイさん。

「しかし…武器屋とはいえ、たいていの武器を扱えるって本当なのォ~?」
「重いのはさすがに無理ですよ。そんな時はナナちゃんの出番ね。」
「はいです!」 にぱぁ~。

「ふ~~ん、面白いじゃないあなた…。武器の品質も良いみたいだし、これから贔屓(ひいき)にしてあげるわ…。
 ありがたく思いなさ~い。 そんじゃ、とりあえず鏃(やじり)百個の注文よろしくね。」
「有難うございます!」
 レイさんは勢いよく頭を下げます。こんな偉そーな客にも丁寧です。


「さて…ドワ公!」
「はい?」
「名前を教えなさい!」((ぶるん))

 なぜ命令口調なんでしょう? なにかとおつむに来ます。

「ナナ=メッサーシュミート…覚えておくのです!」
「フン、もう覚えたわ…。板を貫通するだけでなく、割ってしまうほどの鋭さ…。
悔しいけどあの鏃(やじり)、私がコレまで使ってきたどの鏃よりも良かったわ…。
その若さでたいしたものね、勝負の件はチャラにしてあげる。」

 はわわ!エルフがドワーフ族の作ったものを認めましたよ!
コレはもうドワーフ族の勝ちと言っても良いんじゃないでしょうか!?

 しかし、私は一つの疑問に気付きます。
あの時、最初に牛エルフが放った矢は、なぜ貫通しなかったのでしょうか?

「ふふふ…♪、不思議に思ってるわね?貫通しなかった私の矢に…。」
 うう…心を読まれました。


「あの距離なら、加減した力で的に当てるくらいエルフ族には雑作もないわ!」

「そんな…、中途半端な引きで安定した射撃なんて出来るわけが……」
レイさんが驚いてもらします。

「それが出来るのがエルフっていう種族なの!エルフ族をなめないでよね。
私はカタリナ=アルテミス、この名を覚えておきなさ~い。」
と、牛エルフはこれ以上のないドヤ顔。 胸の脂肪も『ユッサ』と揺れます。

 私たちは声を出すことが出来ませんでした。
悔しいですが、その実力は認めざるを得ません。

「じゃ、またね。鏃(やじり)百個よろしく~。」
 そう言って牛エルフことカタリナさんは、ヒラヒラと手を振りながら、
ユッサユッサとお店を出て行きました。

 世の中にはいろんな人がいるものです。



【ナナちゃんコラム ~ショートボウ(Short bow)~】
※長さや重さの単位は、作中世界のもの になっているので少しわかりづらいかもしれません。

 本編はどちらかというと鏃(やじり)のお話でしたが、ここでは弓をメインに扱いますね。
(主人公が鍛冶職人なのでしょうがなひ。)
 カテゴリ的にはショートボウとなっていますが、弓全般のザックリとした解説です。
今回は長いのでちょっと覚悟をしていただきましょう。


 ショートボウ(Short bow)という名称は、ショートソードと同じく近代の学者がつけた
『ロングボウに対する対義語』なので、特定の弓を指す言葉ではありません。
ぶっちゃけ大型の弓『ロングボウ』より小型の弓すべてです。
皆さんの世界(現代)では、180サンチ以下のものをそう呼ぶようですね。



【弓矢の誕生】
 地球上で弓矢が誕生した時期ははっきりとは分かっていません。
およそ2万年から1万5千年位前と推定されています。
それくらい弓は古くから狩猟用として使われてきた武器なのです。

 氷河期の名残があった頃は大型動物が沢山おり、石器の槍(投槍)で十分狩りができました。
しかし大型動物はすぐに取りつくされ、(例:マンモス)人類は小型動物や鳥も捕食せねばならなくなります。

 しかし、これらの小動物は体が小さく身軽で警戒心も強く、
投槍のようなモーションの大きい武器では捕らえることが困難です。
 石を遠心力で投げつける『投石紐』というものもありますが、
これは使う人の技量にかなり左右され、遠くの獲物を狙うのも、また難しかったのです。

『できるだけ離れたところから獲物に気付かれず倒したい…。』
 人類は考えます。 こうして木の枝の反発を利用して矢を飛ばす『弓矢』に行き着くのです。



【弓の材料(単弓の場合です)
 当初は湾曲した枝をそのままもちいたり、一本の木から削りだして作る
単弓=セルフボゥ(self bow)でした。
コレだけでも木の弾性で十分矢を飛ばせるものが作れます。
 日本では丸木弓という言い方もしますね。

 単弓本体の材料は作られた地方にもよりますが、ヨーロッパで使われる素材としては
ニレやトネリコ、イチイなどが一般的でしょう。

 古代中国では(やまぐわ)が最良とされ、黐の木(もちのき)や山桑、桑、橘、木瓜(ぼけ)、
という順で良とされたようです。

 古代日本は、縄文時代のものはカヤやイチイが多く、
古墳時代になると檀、柘(つげ)(へみ)、、そしてです。
とくに梓弓は弥生時代のものよりも優れた新時代の弓として広まったようです。

 日本では古代から現代まで、神事にも使用されることも多く、
単なる武器や道具とは言い切れないかもしれません。
 神事に使われる弓には梓だけでなく桃や桑も使われていますね。



【弓の進化】
 単なる狩猟道具ですめばよかったのですが、
優秀な道具となれば、それが人に向けられるのにそう時間は掛かりませんでした。
 敵に打ち勝つため、より強く遠く…どこの地方でも飛距離を伸ばそうと、弓本体を加工するようになります。

 材質に動物の骨を使ったり、木を何度も熱して曲げ伸ばしをしたり、薬品的液体を染込ませたりして、
しなりや弾性を強化したり、その内 なめした動物の皮や腱を裏打ちしたりして強化した、
『ラップドボウ(Wrapped Bow)が登場します。

 そして、弓は引きやすさと張力を兼ね備えるには、
各部分で違う素材を使用する方が良いということが分かってきます。
 同じ素材の薄い板を3枚以上くみあわせた合板弓
 動物の骨など異なる素材を組み合わせた合成弓
 これら複数の素材を使って何らかの強化を行っている弓を、ひっくるめて
『複合弓=コンポジットボウ(composite bow)と呼びます。

 日本では単弓が主流を占めるのは平安時代中期(11世紀)頃までで、
それ以降は複合弓(composite bow)が主流になります。
 余談ですが、和弓の特徴である上下が非対称のあの形は弥生時代から始まっていて、
結構古い伝統ある形状なんですよ~。

 もちろんこれらの加工技術が発達していない頃にも、より飛距離と威力を求めて作られた弓もあり、
それがイングランド(正確にはウェールズ地方)のものとかが有名なロングボウ(Longbow)です。
 世界的に見れば ロングボウ自体はいろんな地方にもあるものなので、
ウェールズ特有のものだとは思い込まないで下さいね。
 イングランドやウェールズのロングボウを指すには、
イングリッシュ・ロングボウウェルシュ・ロングボウと呼び分けましょう。

 イングリッシュ・ロングボウは大型化により、
単弓でより強い張力を複雑な加工なしで実現させているものですが、
引き絞るにはかなりの力が必要で、まともに扱えるようになるには長大な訓練期間が必要となり、
扱える人が限られるというのが大きな欠点ですね。

 イングリッシュ・ロングボウについては単独の回を設けたいのでここでの詳細解説は省きます。


 弓本体の形状も地方によってかなりのバリエーションがあり、
弦と弓を合わせた形が、単純なDの形やその変形型、ふた山でBの形に近いものとそれの変形型。
三角形になっている珍しいパターンもあります。

 弓は大体、弦を外すと逆に反るようにできています。
あまり大きく反らないものを直弓(ちょっきゅう)といい、単弓や強化弓に多いタイプです。
 複合弓には、弦を取り外すと完全にCのような形に反る彎弓(わんきゅう)と呼ばれるものもあります。



【弓の欠点】
 弓は木材を乾燥させたり、先ほどのような加工を施すとなると、作成にはとにかく時間が必要で、
こしらえるのに非常に手間が掛かる武器です。
 凝った物になると一年くらいかけて作られるほどなのです。

 一方同じ目的の射撃武器である鉄砲(初期のもの)は、ある程度の精密さは必要なものの、
金属部分の量産自体は鋳造で迅速にでき、弾丸も矢ほど作るのに手間はかからず、
非常に短期間で量産ができます。
 火薬は少々手間がかかりますが、それも製法が確立されると解消されていきます。

 それなのに、拳銃でさえ弓に匹敵する威力(約100J{ジュール})があり、
マスケットとなると、もはや威力は段違い(3000J{ジュール}を超える)です。

 何より、少々の訓練で誰でも撃てるようになる簡便さが利点としてすごく大きく。
 威力もさることながら、
量産性良さと、弓より遥かに短くてすむ訓練期間の短さが、鉄砲最大の魅力であり、
弓が廃れていく理由となるわけです。

 威力そのものよりも、何の訓練もつんでいない女子供ですら、
短期間で兵士に仕立て上げられるという利便性が鉄砲の真の力
だったといえますね。



【弓の引き方、矢の持ち方】
 ショートボウとロングボウでは引くスタイルが違うといわれ、
ショートボウは胸・鎖骨の辺り(あごの下)で引きますが、ロングボウは顔の横で引きます。

 胸の辺りで引く方法はわざと弓をいっぱいに引かないことで、
近距離の目標に矢継ぎ早に矢を打ち込む方法だ という説もありますね。

 また、弓の種類や、地方によっても弦の引き方(矢の持ち方)は違い、
 軽く握った人差し指の横腹と親指で矢をつまむようにしてもち、
つがえて弦を引く方法は主に弾力の弱い弓で使われる方法です。
 俗につまみ型と呼ばれるもち方です。

 つまみ方の変形としては東南アジアや北アメリカに多い 中指や薬指を弦に添える形のものもあります。

 ヨーロッパなどでは人差し指と中指で矢を挟むようにして、
薬指をその下に添わせた三本の指で弦を引きます。(実際に弦を引いているのは人差し指と中指の二本)
 俗に地中海型と呼ばれるもち方です。

 トルコや中央アジア、中国、朝鮮半島では親指で弦を引きます。
 弦に親指を引っ掛け軽く握りこみ、握ったこぶしの上に矢の後部をのせる感じですね。
 俗に蒙古型と呼ばれるもち方です。

 日本のものは弽(ゆがけ{手袋みたいなのもの})を使う場合と、使わない場合で分かれますが、
弽(ゆがけ)を使わない場合は、中指と薬指で弦を握りこむようにし、
人差し指、親指は伸ばして矢にそえた感じになります。
弽を使うと弦に指はかけず、人差し指と中指の根元親指の腹で矢のお尻と弦をまとめて挟み込む感じです。

 一般的に親指で弦を引く蒙古型が力強く射れるとされています。



【矢、鏃】
 矢の殺傷力を引き出す先端、刃物部分を鏃(やじり{pile})(矢尻とも書きますね。)といい。
 矢の棒の部分は矢柄(やがら{shaft})
 羽の部分は矢羽(やばね{fletching})
 弦につがえるお尻部分を筈(はず)、もしくは矢筈(やはず{nock})といいます。


 鏃は古代にはないものが多く、尖らせた枝そのままだったりします。 石器時代では加工した石器になり、
貫通力は鉄より優れていると有名な黒曜石などが使われますね。

 金属の精製ができるようになると、いよいよ鏃は量産され、兵器としての有用性が増して行きます。
 鏃が鉄から鋼になると、条件がそろえば金属製の鎧をも貫けるものが登場し、
事実上の主力兵器として機能する場面も出てくるようになります。

 発展してくると、鏃の形状も進化。当然狙う対象物によって形が違うものを使用するのですね。
 ヨーロッパでは特殊な形状をしたものはあまり無く、 槍の穂先のようなものが一般的で、
返しがついた矢印のような形の太矢尻。
金属製の鎧を貫くため、返しのない釘のような先端の鎧通し(ボドキン)。
板を割るための蚤形のもの。
金属鎧に滑らず食い込ませるため又に分かれたものが挙げられましょうか?

 もちろんほかにも探せば出てきますが、使用例は少ないと思われます。


 中国や日本の鏃の形状は実に多彩で、ここで紹介するには多すぎるので省きます。
 (というか図を載せないとさすがに説明は無理です。)興味を持った方は各自で調べてみてください。
  面白いものとしては音を出して飛ぶ鏑矢(かぶらや)などが上げられますね。


  矢柄に関してはあまり進化的なものはありません。
 ヨーロッパでは弓本体同様西洋イチイ(スペイン・イチイ)が使われることがベストとされていますね。
  中国や日本は大体『竹』です。
  どの地方でも長い期間そのまま使われ続け、とくに大きな進化は見られません。


  矢羽は矢の飛行を安定させる重要な部分で、その名の通り大体が鳥の羽が使われます。
 どこの地方でも鷹や鷲の羽根を高級品とする所が多く、ある種の定番ですね。
  もちろん射手の好みでチョイスできる部分ですから特定の鳥種を好んで使う人もいます。

  枚数は古代では2枚羽が主流ですが、すぐに3枚から4枚羽になります。
 世界的に見ても3~4枚羽が多く、矢羽の枚数のスタンダードといっていいでしょう。
  一部アフリカ等には矢羽をつけない矢も存在しますが、
 矢が安定しないので、大体ができるだけ近づいて射掛ける使用法になります。


 中世の矢筈は単に矢柄に溝をつけただけで、パーツとして存在しないことがほとんどです。
 しかし、溝をつけただけだと、強い弓の場合矢筈がはじけて壊れてしまうことがあるので、
パーツとして硬い動物の角や骨を使って部品化した矢筈というものをつけることもあります。

 凝った矢筈になると、宝石を使用したり特別仕上げになっていることが多々あります。(現代はプラスチック…)
絶対必要な部品というわけではありませんが、こだわった矢筈を使用し、他人に差をつけたいものですね。


 特殊な矢として、可燃物をつけた火矢などがあります。
 ココまで来ると目的が違うので純粋に矢と呼べるのかどうか怪しいですけど。

 また、矢自体の重量も結構重要で、弓にあった重さのものでなければ最良の威力は発揮しません。
もっとも、戦場ではそんなことは気にしていられないので、
相手が撃ってきた矢を、拾って打ち返すということは日常茶飯事ですねぇ。



 おもしろいのは地域によって弓兵のあつがいがまるでちがうことです。
 ヨーロッパでは全般的に地位が低く、騎士たちが活躍した時代では常に下っ端あつかいです。
 有名なクレシーの戦いで、長弓兵がクロスボウや騎士を打ち負かすような事態になっても
弓兵の地位は低くあつかわれ、高く評価されることはあまりありません。

 しかし、一転してオリエントやアジアなどとなってくるとまったく逆で、
弓は武人のたしなみとでもいうような風潮であり、弓術巧者が偉いとされる傾向にあります。
 ペルシア、トルコ、インド、中国、朝鮮、そして日本。 これらアジア諸国ではどこもがそんな感じですね。

 最後に皆さんの世界でも弓は競技種目として残っているみたいですね。
しかもコンパウンドボウとか、3ピースボウとか言う 機械仕掛けの弓まであるという話ではないですか!
一度見てみたいですぅ。



【あとがき】
 はい、吾輩の巨乳病が発病してる回ですね。
 いや~ここら辺で巨乳成分を補給しないと吾輩に禁断症状が出てしまいますので…。

 この牛エルフことカタリナさんは準レギュラーとして今後何度も登場します。
話の内容はこれまた他愛もない弓矢勝負ですが、当然作者は弓を持ったことすらないので
射撃の感覚、描写は推測の出鱈目です。鵜呑みにしないように!

 それにしても、弓の解説が本編に匹敵する長さになっちゃてますねぇ~。
 これでも書ききれてないことが多く、もっと専門的なサイトをめぐりますと、
ここには書かれていない いろいろなことがわかると思います。

 できれば鏃の種類は絵つきで出したいのですけど、自分で描くと時間がかかってしまふ。
挿絵も自分で描いてる人ってどのくらいいるんでしょ…。


MITAKEN「さ~て、どうやってカタリナさんの胸を揺らす表現を増やすかのぅ~。」

ジュリエット(蝶)「それにしてもアルテミスってもっとひねった名前考え付かなかったのぉ?」

MITAKEN「最初はいろいろ考えたんですけど、結局一回りして戻ってきちゃったんですよ。」(==;)

 そもそも彼女は故郷の村を捨ててしまった人なので、
「アルテミス」は彼女が自称しているファミリーネームなんです。本名じゃないんですよ。
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MITAKEN0

Author:MITAKEN0
F井県E市に生息中のキモヲタ。

好物は武装神姫、トランスフォーマー、LEGO、萌系フィギュア。
神姫NETの公式SS板でワンユニット師だった経歴を持つ。
無類の巨乳好き♡

なお、当ブログの映像、画像、文章等の
無断転載はご遠慮くださいな~。

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