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鋼の詩(はがねのうた)7 ~クレイモア~

久しぶりに鋼の詩7話~。
七話になってやっと店長のご登場。

それにしてもクレイモアって名前だけは有名ですが、
実際のところ西洋圏でもちゃんと理解されているのか
心配になるくらいややこしい武器ですね。

※この物語はオノマトペを多用した作りになっているので、
人によってはわかりにくかったり、ビジュアルイメージがしにくいかもしれません。

※「物語はどーでもいい」という方は、武器コラムだけでも読んでみて下され。

【伝説の古代剣 ~クレイモア~】

ガイン、ガイン、ガイン。


 いつもどおりの仕事場でいつもどおりの仕事をこなす私。

 しかし、何か妙な気配を感じます。


 レイさんの声は接客中なのか、室内へと続くドアからかすかに聞こえてきますが、
 それとは明らかに別の気配です。



『まさか泥棒さん? 人がいるお店に白昼堂々と……?』

 

 ちょっと考えにくいですが、
 ウチは高価な貴重品もいっぱいあるお店、可能性は0ではないです。

 作業を切りの良いところで中断すると、お店側へのドアにへばり付いて聞き耳をたてます。

 

ガサ……ガサゴソ……。

 何かを漁るような音。

 ネズミさん?
 それにしてはちょっと音が大きすぎるかも……。

 まさか猪か何かでしょうか、
 町が近いここら辺で猪が出たなんて話、あまり聞かないですけど…。


 そっとドアを開けます。

キィィ……。

 

 通路を挟んだ向かいの食堂から聞こえてくるのは、
 どう聞いても食べ物にガッつく音です。

ガツ ガツ ガツ……モギュモグモグ、ゴキュ……ゲプッ。


『何か食べてる~~!やっぱりどこかの動物なのぉ!?

 

 私は通路脇にまとめてある、掃除用具の中からホウキを手に取ると、
 食堂入り口のキワにぴったり張り付きます。

 ドアは半開き。

 食べるのに夢中なのか 中の侵入者はこちらにまったく気付きません。

 

 首だけ出してそっと除き込むと、
 保冷機のドアを開けたまま中の食べ物を食べている様子。

 上半身は保冷機のドアの陰になって見えませんが、
 覗いているスパッツを履いたお尻は、私と変わらないくらい小ぶりなもので、
 尾骶に穴が開いており、70サンチくらいの細長いフサフサ尻尾がフニフニと踊っています。

 明らかに動物ではなく人型種族です。

 

『子供の獣人?なんにせよ盗み食いとはいい度胸、成敗なのです!』


 私は意を決して、ホウキを振りかざし食堂に突入!

「こらぁっ!盗み食いは犯罪なのですよっ。」

「フギャッ!」

 

 ビックリしたのか、盗み食いの犯人は素っ頓狂な声をあげ、
 とんでもない速さで小さな私のお股をすり抜けると、お店側へ飛ぶように走っていきました。
 手足を使った四足疾走です。

 

「何!何の騒ぎなの!?

 声に驚いたのか、レイさんが店側からこちらへ向かって駆けて来ます。

 ちょうど私とで犯人を挟み撃ちにできる感じ。よ~し、捕まえたっ!

 

 ……と思ったのですが、
 盗っ人は風のように一瞬でカウンター→商品棚→天井の梁へとかけ登ると、
 隅っこの暗がりで毛を逆立てて威嚇します。

「フシャーーーーーッ!」

 まるで猫です。


 何が起こったのか理解できないお客たちが叫び声を上げて怖がります。

「レイさん、盗み食いの犯人ですよ!」

 私は事情が飲み込めていないレイさんに向かって叫びました。

 最初は緊張感のある顔をしていたレイさんですが、
 私のその言葉と隅っこに逃げた犯人をじっくり見ると一言。

 

「……何やってるんですか店長……。」


 

「はい?」

 今度は私が驚く番でした。

 暗がりで顔は良く見えませんが、
 確かに背格好は私の記憶にある店長と同じくらいだったよーな……。

 

「怒らニャい?」

「怒りませんからはやく降りて来て下さい!」

 

 両手を腰に当て、お説教モードのレイさん。

 すでに怒っているようにも見えますが、
 本気で怒ったレイさんはこんなものではないので十分怒る前です。

 

「ニャハハ、見つかっちゃったニャ。」

 スルスルと柱を伝って下りてきたのは、猫系獣人ミーア族の女性。

 全身に毛があるためか比較的薄着で、
 丈の短いタンクトップに上着のベスト、それにスパッツという軽装です。

 頭部には『まさにネコミミ』といった感じのとがった耳がピコピコと動いていました。

 


 身長は私より少し高い145サンチくらい、
 人間の女性と比べるとやはり小さめです。
 胸のふくらみもあまり無いので子供に見えますが、立派な成人女性。

 私たちドワーフ族と同じで、身長はあまり伸びない種族です。
 コレでもレイさんよりも年上なんだとか……。

 


 この人は、いつも貴重な武器・防具の探索と称しては世界中を飛び回っており、
 お店にはほとんど居ません。

 それがここ『古兵(ふるつわもの)』の店長、
 『ニャンコローナ=シコルスカヤ』さんなのです。

 私も数ヶ月に一度という頻度でしか会わないので、
 まだ知らないことも多いですけど……。

 


 

 レイさんが怖がるお客さんに丁寧に説明し、ひとしきり謝ると、
 今度は店長に向かって早速お説教続行。


「まったく、毎ッ回毎回普通に玄関から帰ってこれないんですか!」

「フニャぁ~~、怒らないって言ったのニャ!」

「怒ってません!!」

 よくある会話のやり取りが展開されます。まるでいたずらっ子と叱る母親です。

 

「まぁまぁレイさん、店長のこっそり帰宅はいつものことですし、ここは抑えて……。」

「ハニャぁ、やっぱりナナちゃんは優しいニャ!」

 店長が抱きついてスリスリしてきます。フサフサの体毛が気持ちいい~。


「甘やかしちゃダメ!厳しく言わないとロクな事しないんだから。」

「そんなこと無いニャ。今回も貴重な逸品を見つけたのニャ。」

「で、それを入手するのに掛かった費用はいくらなんですか!」

 接客を台無しにされたレイさんは益々エキサイト。
 普段はあまり怒らない人なんですけど、最近かるしゅーむ不足?

 

「込み込み25ラルドニャ……。」

 つまり金貨25枚分です。

 金貨一枚で普通の農奴4人家族が一ヶ月暮らしていけるくらいですから、
 一般家庭約2年分の生活費相当ということになります……え?購入費が!?

 

「旅費は別計上ですよね?」

 問い詰めるレイさんに、シュンと益々縮こまって無言でうなずく店長。

 

 今回居なかったのは二ヶ月ほど。期間が異様に短いので、
 たぶん何らかの高速移動手段を使ってますね。(つまりお金が掛かってます。)

 旅費は泊まる宿や、食事によって結構変わってきますから一概には言えませんが、
 贅沢をすれば4モンド銀貨くらいは掛かっていそう……。

 店長も私同様『飲兵衛(のんべぇ)』ですから、絶対お酒は大量に飲んでると思いますし。

 

「これじゃいくら私やナナちゃんが頑張っても、ちっとも儲からないじゃないですか!
 城壁内への移転なんて夢のまた夢ですッ。」


「あー、だから壁内に移転する気は無いのニャ……。」


「屁理屈はいいです!」

 

 それからレイさんの小言はクドクドと小一時間ほど続きます。
 コレが無ければ美人で良いお姉さんなんですけどねぇ。





「それより、今回の戦利品はなんですか?」

 私の質問(たすけぶね)にニャンコ店長の顔がパッと明るくなります。

「良くぞ聞いてくれたニャ ナナちゃん。」

 


 店長は食堂まで跳んで戻り、大きな布でくるまれた
 150サンチくらいの長物を持って帰ってきます。

 縛ってある紐を解くと、出てきたのは三本の剣でした。


ゴト、ゴトン。

 

 

 サイズや細部に微妙な差異はあるものの、
 三本とも形状が似ているので 同じ武器と言っていいようです。


 見た目は普通の剣、三本とも棒鍔は浅く斜めにV字に突き出ており、
 その棒鍔の先端には三つ葉、もしくは四葉のクローバーのような
 リング飾りがついているのが特徴です。

 それ以外は一昔前のロングソードとさして変わらない刀身形状といっていいですね。

 


「コレはなんですか?」

 私も始めてみる剣に興味津々です。

「古代の高地民族が使用していたという剣、『クレイモアー』ニャ!」


 その武器の名は私も聞いたことがあります。
 何万年も前にあったとされる先史文明時の民族の一つで、
 この民族を含む国は、一時は日の沈まない帝国とも言われた伝説上の大国です。

 その後、幾度かの大戦争で世界中が衰退することになったと文献にはあるのですが、
 ある時期からパタリと書物の類が出土しなくなっているので、
 その後どうなったのかは未だに謎です。 
(これだから電子化は… # by作者)

 

 

「古代人も剣なんて使ってたんですね~。
 伝承では光の魔法器具を操って対象物を焼いて戦っていた、という言い伝えですけど。」

 私も職業柄、多少古代技術の知識はあります。


「古代人も最初からそのような高度な魔法は無かったのニャよ。
 もっと古い時代は当然 槍、弓、剣で戦ったニャ。
 この剣は古代人がミィらと同じレベルの生活をしていた頃の大変古い逸品なのニャ!
 こんな状態の良いものが25ラルドで手に入るなんてまさに奇跡ニャ!」

 


「店長……まさか25ラルドって、一本の値段じゃないでしょうね?」

 レイさんの額にピキキッと青筋血管が浮き上がります。

Σビクッ

「ま、まぁ、それはおいといてだニャ……。」


 うわ~、本当は75ラルドなんだ。

 それはレイさんも怒りますよ、お店がつぶれちゃう……。(-∀-;)

 


「そもそも なんで三本も買ってきたんですかぁ?」

 私の口から率直な疑問が漏れました。

「あ~、買ったというより、南方遺跡を良く知るレンジャーに、
 ガイドと発掘のアシストをお願いしたニャ。
 成功報酬で一本見つかるごとに25ラルドって事で、
 まさか三本も見つかるとは……
あ、しまったニャ。」


「やっぱり一本あたり25ラルドなんですね!」

 ゴゴゴゴゴゴ……という地響きのような雰囲気をまといながら、レイさんが呟きます。

 あぁ、とうとうレイさんが般若モードに……。

 


「この埋め合わせはちゃんとするニャ~~!」

「その台詞、毎回聞いてます!!


 再び追いかけっこの始まりです、こうなるともうレイさんも仕事になりません。
 ほかのお客様の相手は私が対応せざるを得なくなりました。まったく困った二人です!

 

 




「さぁ、お仕置きは済んだことだし、お仕事お仕事。」

 数分後、叩きすぎて赤くなっている手の平をスリスリしながら

 カウンターへ戻り仕事を再開するレイさん


「ううう、店長に暴力を振るう従業員が居る店なんてウチだけニャ……。」

 腫れ上がったスパッツのお尻を撫でながらゆっくり立ち上がるニャンコ店長。

「でしたら店長らしい行動をして下さい。
 私は先代店長からニャンコ店長のことを頼まれてるんですからね!
 過ちは容赦なく正しますっ。」



 あはは。今度は恐妻とダメ亭主みたい……。

 一方的に責められる店長がかわいそうなので、またもや助け舟を出しましょう。




「確かに非常識な金額ですけど、高く売れれば儲けにつながるわけですよね?」

「それはそうだけど、時代の古いものは強度も信用できたものじゃないし、
 骨董以上の価値は無いと思うわよ?」

 つまり実用品としては失格で、貴族のコレクション用ってことですね。


 しかし、ウチのお店に貴族が直接出向いてくることなんてまずありません。

 かといって天下に名がとどろくほどの名剣というわけでもないので、
 噂にまではならないでしょう。
つまり絶望的に売れない商品でもあるのです。

 う~ん、レイさんが怒るのも無理ないかなぁ。

 


「そんなことナイのニャ!この刀身の輝き……、
 しっかりと液体に包まれて保管されていたから錆もほとんど無いニャ、
 研ぎなおせばまだまだ現役で使えるニャ!」


「確かに刀身は私が見ても申し分ないわ。
 でも、グリップ部分は別!拵(こしら)えは相応の劣化が進んでいるみたいだし、
 コレまでどんな使われ方をされてきたのか分かったものじゃないですもの。」


 確かにレイさんの言うとおりですねぇ。

 

「う~ン。その点は私も鍛冶職人としておススメできかねます。」

「フニャァ~、ナナちゃんまでぇ、裏切りもニョ~。」

 

 いやいや、剣は自分の命を預けるものですから、ここは妥協してはダメなのです!




「ふん!じゃぁ、今からミィが問題ないことを証明するニャ!」

 そういうとニャンコ店長は大きな両手剣を頭上に振りかぶり、
 思いっきり斜めに振り下ろします。ちっちゃい体で無理しちゃって……。

 

ブウゥゥンッ! バキンッ☆

 鋼挿絵7話1

『バキン?』

通常はするはずのない音が店内に響き、間をおいて続く鈍い音。

ゴスッ!!

 
鋼挿絵7話2

 あろうことか、剣は柄元でポッキリ折れ、
 大きな刀身は風車のように回転しながら、天井付近の壁にザックリと刺さったのです。
 やっぱり一番力のかかる茎(なかご)部分にダメージがあったんですね。

 


「|た~-re壊(‘&が%$店#“!O~~~~~~!!!

 レイさんが叫びとも悲鳴ともつかない声を上げた方思うと、
 白目をむいてバッタリと気絶し倒れました。


 25ラルドも掛かっている剣が折れたからなのか、
 はたまたお店が傷ついたのがよほどショックだったのか……。

 


「………ニャハハハハ……たぶんコレは偽物なのニャ!

 いえいえ!年代鑑定は専門じゃありませんが、確実に万年単位の超年代物ですよ!

 

「あ!そういえば新しい武器の情報を入手してるんだったニャ。
 じゃ、ナナちゃん後はよろしくニャ♪」

 脱ッ!


「て、店長ォォ~~!

 それは猫系種族の癖に、『脱兎という言葉がピッタリな行動でした。

 私は気絶したレイさんを放っておけないので、追いかけることができません。

 店長はそのままお店の外へと消えていきました。

 カラン カラァンとドアチャイムの音だけが空しく響きます。

 


 あぁ、今日の夕飯もレイさんの愚痴が延々と続くのかなぁ~。

 


 その日以来、店内の誰も手が届かない高さの壁に、古代剣の刀身は刺さったままになっています。


 



【エピローグ】


 お店を閉める暮れの6刻、私たちが後片付けを終えた後……。



「やられた!」


 一日の集計を帳簿につけはじめたレイさんの絶叫。今日はもう何度目なんでしょ。



「金庫の中身が減ってるわ、盗み食いの前にやられていたのね。」

「え~~っ またですかぁ!? 鍵はこの前変えましたよ?


「いつもダンジョン等を漁っているから、店長のピッキング能力は盗賊並みなのよぅ!


 

 どうやら店長が帰って来た真の目的は資金調達だったようです。
 店長がいなかった、ふた月あまりに稼いだお金の大半が持っていかれてしまいました。

 全部じゃないからまだ良心的なのでしょうかねぇ。

 コレじゃ武器屋というより盗人(ぬすっと)ですよてんちょおぉ~~。

 


『ニュフフフ……スキ有りなのニャ!』
v(^ω^)v

(おしまい)

 


 
【ナナちゃんコラム ~クレイモア Claymore~】(今回は推測が多分に含まれます。)

※長さや重さの単位は、作中世界のもの になっているので少しわかりづらいかもしれません。

 はい、今回はクレイモアClaymoreの項目を設けたくて無理やり作られた回でした~!

(バラさないで下さいヨ、それと店長のキャラ紹介も兼ねてますよ!)

 

 有名な武器なので、ドラクエを始めRPGブームや、
ファンタジー小説&映画を通ってこられた方々なら名称はご存知かとは思いますが、

 実はこれらのフィクション作品によって固定概念が作られてしまったので、
誤解が広まっている可能性が非常に高い武器でもあります。

 

 クレイモア/クレイモアー/クライモア/クライモー
日本語(カタカナ)ではこのような表記のされ方をします。

 スコットランドの高地民族『ハイランダーHighlanderが使用した剣
として有名ですね。


 もともとは古代スコットランド語(ゲール語)「大きい剣」を意味する
クレーフモーclaidheamh mórの英語訛りなので、
どれが正解かなんてのは追及するだけ無駄なので省きます。
(発音表記に関してはいろいろあるかとは思いますが、
 クレーフ モー表記は参考にしている本のものです)



 ウィキペディアなどではクラゼヴォ・モル
 {現代スコットランド・ゲール語ではクライァヴ・モール}と表記されてますが。
 現代ゲール語ならともかく、古代ゲール語の発音表記からクレイモア
という発音を導き出すのはちょっと苦しいかも?

 

 もちろんここで言う「大きい剣」というのは、両手剣という意味ではなく、
単純に通常の片手剣より長い剣であったことを指します。

 つまり、ショートソードに対するロングソード的意味合いですね。
 スコットランド地方でのロングソードの呼び方と言ってもいいかもしれません。

 この時点で、クレイモア=両手剣という認識をされている方々は面食らうことでしょう。

まずココの誤解を解いておかないと
『クレイモア』という武器を正しく理解したことにはなりません。

 



【時代によって違うクレイモアの形】

 
また、ややこしいことにクレイモアと呼ばれる武器は
時代によって形状が全く違い
大きく2系統に分かれます。


 一つはよく一般的にイメージされる十字鍔の先端に
複数のリング飾りがついた14世紀~17世紀のもの。


 もう一つは1718世紀頃 近代になってからの
バスケットヒルテッドソードBasket-hilted Swordの形をしたものです。

 


 一般的に広くイメージされるクレイモアの形状は両手剣で、
作中にあるとおり浅いV字に傾斜した十字鍔の先端に
クローバーの葉状のリング飾りがある
…というもので。
 中世スコットランドの高地(ハイランド)に住む人々
『ハイランダー』が使用した剣の名称……で通っています。

 コレ自体は間違っていません。

 西洋でも通用する共通認識のクレイモアです。

 但し、この形状の剣は、
 『その当時クレイモアと呼ばれていた記録がない』のです。

 


 ハイランドのこの形の剣は、長い年月の中でゆっくり変化しながら現れ、
 使用されていた期間も長く、完全な片手剣サイズのものから、段階的に大型化していった
 武器のようで、
サイズのバリエーションもひじょうに豊富。

 その形状も中世初期の頃のスコットランドの特徴を強く受け継いだものです。

 完全な両手剣サイズのものでも、全長135サンチ(cm)前後、
 刃渡り110サンチ前後。重さは重いものでも2.8キグロ(kg)と3キグロを超えず、
 両手剣としては比較的小型で、
 形状が大体同じ傾斜した十字鍔に輪飾り形でそろっていることが特徴です。


 ツヴァイハンダーのようなリカッソを備えていたり、
柄と刀身がくびれて分かれていたり、
幾つかのバリエーションはあるものの、シルエット的には大体共通していますね。

 両手用のクレイモアは、
トゥーハンデッドクレイモア
Two-handed Claymoreと分けて呼ぶ場合もあります。



 では、実際に記録上にも残るクレイモアと呼ばれた
 バスケットヒルテッドソード形の近世の剣とはどんなものだったのか…。


 もちろん形状的にも長さも完全な片手剣サイズです。

 刀身の種類も一般的な幅広の直剣型や、片刃のもの、
 サーベルのような曲刀、波状の刃を持つものまであります。


 この頃は金属製の全身鎧の衰退が進み、
 再び『斬れる剣』がその勢力を盛り返してきた時代です。
 レイピアの全盛と重なりますね。

 


 このスコットランドのバスケットヒルテッドソードは、
当時隆盛していたレイピアに対してはもちろん、
ほかのヨーロッパ諸国で使われた剣より刀身の幅が広く、
そこから大きい剣=クレイモアと呼ばれたようです。

 現在の呼び名としては
ブロードソード(broad sword)
モロに「幅広い剣」という意味です)と言ったほうが、

 イメージしやすい方もいらっしゃるでしょう。

 


 この時代は海外刀工などの台頭で、
スコットランド国内の刀工産業が潰れてしまい、

刀身のほとんどをドイツなどの外国から輸入するようになっています。


 当時の記録にもスコットランドの刀身は幅が広いという記述がしっかり残っており、
 生産もとのドイツでもスコット大刃Grosse Schottenと記録されています。

 

 皆さんがクレイモアとして認識している大剣は、
中世当時にクレイモアと呼ばれた記録がないこともあり、
このバスケットヒルテッドソードこそがクレイモアと呼ぶべきである
という人もいるくらいです。

 



【ハイランドの剣だけがクレイモアではない】
 さらに、実際は、スコットランド全体の刀剣がクレイモアと呼ばれるので、
 中世スコットランド低地
『ローランド(Lowlandの刀剣も

 ひっくるめてクレイモアと呼ばれます。

 ローランドのクレイモアは、隣接しているイングランドの影響が強く、
 定番形状のハイランドのものとも、
 近世のバスケットヒルテッドソードのクレイモアとも形が違います。

 非常に大きい全長170サンチ
 重さ約3~3.5キグロという大型の両手剣で、

 棒鍔は大きくつの字に曲がっており、二つのラウンドガードを持つというのが基本形です。

 このラウンドガードがハマグリが開いた状態に見えるので、
 便宜的にクラムシェル ヒルテッド クレイモア"clamshell hilted" claymore
 と呼ばれることもあります。

 要は普通のトゥーハンデッドソードの形なんですね。

 独特な形ではないためかあまり言及されませんが、
 一応こちらもクレイモアですので知識として知っておくといいですよ~。

 


 この二種類のクレイモアを分けて言いたいのでしたら、

 ハイランド クレイモア(Highland claymore)、
 ローランド クレイモア(Lowland Claymore

 と呼び分けましょう。

  

ちょうどいい画像がネットでひろえたのであげておきます。
001_20160413210544c34.jpg

一番上がローランドクレイモア。

真ん中が片手剣仕様のハイランドクレイモア

一番下が両手剣仕様のハイランドクレイモア

と思われます。
(勝手な推測ですので盲信はしないでください。)




 最後に……

 現代の研究者は、定番形状のクレイモアにたいして、
 スコットランド語で両手剣を意味する
 『クレーフ・ダ・レーフClaidheamh da laimh
 という単語を使うそうです。

 すでにクレイモアとは呼んでいないのですね……。

 研究が進むのは良いことですが、なんだか色々ブチ壊しな武器なのでした。





【あとがき】

はい、七話になってやっと店長が登場です。

え?ミーア族ってミーアキャットは猫じゃねぇぞって?
そういう突っ込みは大歓迎です。

ちなみにプレーリー族って言う犬系種族もいます。(笑)
出てくるのかな~り後ですが。

そもそも5話に出てくるサーペント族も蛇系種族じゃありません!


ジュリエット(蝶)
「絶対わざとやってるよね?」
リマ(忍)「そんなに突っ込んでもらいたいんでしょうか?」

さてね~~。


ま、本編の内容はいつものようにただのホノボノ日常です。
もうラノベ系がバトル一辺倒なものが多いので、
や~んわりとしたものを書きたいんですよ。
本体はコラムのほうだし!(ポロリと本音を言うな。)


あと…

 本編作中ではスコットランドを大英帝国とゴチャ混ぜにして表現しておりますが、
 コレはお話の中での世界認識なので、
 現実世界ではスコットランドはグレートブリテン連合の一部ということは
 明確に分けておいてください。

 作中の発言をそのまま鵜呑みにはしないで下さいね。



近年になっていろいろな事実がわかってきたクレイモアの真実。
本場の西洋では常識だったのかもしれませんが、
日本ではもう定番形状で定着してしまっているので、
バスケットヒルテッドソードのタイプをクレイモアと呼ぶには抵抗がありますね。

当方もたかだか数年前はそんな事実も知りませんでした。
今現状でもコラムに書いたことが本当に正しいのか自分でも確証がないくらいです。

一応日本語版ウィキペディアの項目よりは情報量が多くなったとは思うものの
当方の認識もどこまであってるのかさっぱりわかりませんからね~。
詳しい人ぜひご教授お願いします!


でわでわ(^ ^)ノシ
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プロフィール

MITAKEN0

Author:MITAKEN0
F井県E市に生息中のキモヲタ。

好物は武装神姫、トランスフォーマー、LEGO、萌系フィギュア。
神姫NETの公式SS板でワンユニット師だった経歴を持つ。
無類の巨乳好き♡

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