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鋼の詩(はがねのうた)8 【原点の剣 ~ショートソード~】

 いや~久しぶりの鋼の詩になってしまいました。
原因は…FA・Girlをはじめコトブキヤのキット群ですね。

今回の話は主人公から語られる過去話です。
物語上「主人公たちは町から出ていくことがほとんどない」ので
過去話が多くなってしまうのですよ~。

※この物語はオノマトペを多用した作りになっているので、
人によってはわかりにくかったり、ビジュアルイメージがしにくいかもしれません。

※「物語はどーでもいい」という方は、武器コラムだけでも読んでみて下され。

 【原点の剣 ~ショートソード~】

「ナナちゃん、この箱をおもてへ退けてくれない?」

「は~い。」


ガコン、ガタタッ。


 今日はお店の二階にある倉庫の大掃除。

お店の裏手側は当然私たちの生活スペースなのですが、

キッチンと寝室に挟まれた階段は二階に繋がっており、

そこには大量の武器・防具が木箱や籠に入れられて保管されています。


 当然重いものはレイさんでは動かすことができないので、

力のあるドワーフ族である私の担当というわけです。

(二人で持とうにも筋力に差がありすぎて上手くいきませ~ん。)

ボフッ。


「ひゃぁ!」

「ケフッ、ケフッ、すごい埃ね。」

 やたら重い箱を降ろすと、たちまち煙のような埃が舞い上がります。

「あら?この袋は何が入ってたかしら。」


 10
年くらい動かしていないという箱の奥から、比較的新しい麻袋が出てきました。

何やら細長いものが入っているようです。

 あれ?何か見覚えがあるような……

「袋に日付が書いてあるわね、2年ちょっと前か……。」

 ちょうど私がここへ来た頃です。

「あぁ!これ私のですョ、こんなところに落っこちてたんだ!」


にぱぁ~。(´∀`)


「ナナちゃんの袋がどうしてこんな所に?」

「ここへ雇ってもらったばかりの頃は、倉庫の配置なんか分かりませんでしたから、

  いろいろと手間取っちゃって

  最も上の棚で在庫探しをしていた時、ついでに保管してもらおうと持ってきていて

  落としちゃった袋があったんです。見つかってよかった~。」


 古い建物ですし、倉庫なので棚の板は隙間だらけ。

細長い袋はスルリと棚の隙間を抜けて最下の箱の奥に落ちちゃったんですね。

 当時も探したんですが、薄暗いところなので見つけられずにいたのです。


「大事なものなの?」

「今の私にとって必要かというと必要ないんですが、品物としては思い入れがあるものですよ~。」

「ふふふ、後で聞かせてね。今はとにかくお掃除 お掃除。」

 真面目なレイさんは、『途中で与太話をする』という選択肢は出てこないのでした。




三刻(三時間)ほどみっちり掃除をした私たちは、埃まみれになって倉庫から出ます。

 裏の小川で着ていた物の洗濯と水浴びをし、すっかり綺麗になると ちょうどお昼時。

 着替えた後に調理場で昼食を作り、食卓につきました。

 いつものパンに、珍しくお肉である猪豚のロースト、ゲルグ芋のマッシュポテト

早朝に買っておいた新鮮な野菜サラダが並びかなり豪華な昼食です。

 今日は良く動いたので、レイさんがボリュウムのあるメニューにしてくれたのでした。


「さぁ、頂きましょう。」

「はいです!」


モギュ モギュ モギュ。

 なかなか食べられないお肉は最高~!


「そういえば、さっき見つけたナナちゃんの袋って何が入っているの?」

「もちろん武器ですよ。私が故郷を離れて作った初めての剣です。」

 私はお行儀悪くも、食卓に袋の中身を取り出してきます。


ゴトン。


「へぇ~。普通の片手剣ね。」

 珍しく食事を中断して剣を手に取るレイさん。


「複雑な技法とかは使わず、単体の折り返し鍛錬法で刀身を仕上げています。

  急造品なので捻じり回数も少ないんです。」

「新人らしい初々しさが見てとれるわね

「あんまりじっくり見ないで下さい~。駆け出しの頃のヘタクソな品ですから~。」

 この頃の私は、やっぱり今とは比べ物にならないくらいの未熟者です。

恥ずかしい経歴を暴露されるのに等しいのですよ~。


 あんまり行儀が悪いのもまずいので、しっかりお肉を堪能した後に

話を続けることにしました。後片付けも手早く済ませます。


「で、結局売れずに持っているわけね~。」

 改めて食卓についたレイさんがニヤニヤとイヤらしい笑み。

今日はちょっとイジメっ子です。


「いーえ!ちゃんと売れてますっ。

まだ出来が不安だった頃は、二本作って良い方をお客に渡していたんですよ!」

「え?それって赤字じゃない?」

「でも、経験は積めますから、無駄じゃないですよ~。」

そして私は昔話を始めました。



 6
年前――――

 16
歳の私は両親に「見聞を広めてこい」と追い出されるように郷を出奔しました。

 本来ドワーフ族は保守的な部族なので、商業以外で外へ出かけることはあまりありません。

人によっては一生街や村から出ない人もいるくらいなのです。

(人間の農民も似たようなものらしいですけど。)


 でも私のおかーさんはドワーフ族でも特殊なヤポン人の末裔だったので、

皆とは少し考え方が違っていたのです。

 さらにまずいことに、おとーさんはドワーフ族では珍しい国外進出系である

ヘルムシュミート家からの入り婿なので、「一度外の世界へ出てみるべき」と、

二人して意見が一致してしまい。

 16の誕生日に叩き出され、最低1年間は家の敷居をまたぐことを禁止されてしまったのです。

今考えると虐待です、拷問なのです!


 ドワーフ族は、男女問わずだいたい12歳ごろまでに

鍛冶や彫金技術等 何らかの技能を身につけているので、

それで生計を立てるのが普通なのですが。


 新人の作ったものがホイホイ売れるわけもなく、

半年もたたずして旅先の私の資金は底をつく事態になっていました。


 そんなある日、人が多ければ多少は売れるかもと淡い希望を抱き、

大陸一の大都市『帝都ミカエル』に向かう30人規模の商業キャラバン隊に混じって歩いていた時、

『彼』と出会ったのです。




「荷物重そうだな、持ってやろうか?」

 声をかけてきたのは まだ顔に幼さが残る、

私と変わらないくらいの年の人間の少年でした。身長は私より35サンチも高いですけど!

小さい私が背負っている、郷から持参した自作武器満載の巨大リュックが重そうに見えたのでしょう。

(一つも売れてないんです……グスン。)


「結構です!」


 私はかぶっている外套のフードを深めにかぶりなおし顔を隠します。

 これまでの旅で人間という種族の汚さや

世間の世知辛さをすでに体験していた私は、他人をまったく信用しなくなっていました。

こんな申し出をされても『荷物を盗まれる』
としか思わないのでキッパリと断ります。


「でもお前俺より年下みたいだし、

  さっきから見てると連れも居ない一人だよな?親はどうした?」

………………………………。」

 係わりたくないので無視無視、身長で年齢を決めるナです!

するとガン無視する私に、突如身の上話をしだす少年。まったく変なヤツです。


「俺は騎士になりてーんだ。傭兵団に入って名を上げて、

  どこかの王様に取り立ててもらえるような強い猛者に……、それが俺の夢だ。」


『なんですかその子供じみた夢は~!寝言は寝てるときに言いやがれです。』

 おかーさんの格言「人をみたら泥棒と思え」をイヤというほど痛感していた私には、

幼稚臭い戯言(ざれごと)にしか聞こえません。

 そんな私の思いをよそに少年は続けます。


「でも親は許してくれなくてな……それで家を飛び出してきたんだ。」

 はぁ、典型的家出子供ですか…。人間族には結構多いらしいですが、

ほとんどが盗賊や野生生物に襲われて命を落とすようです。

アホウそのものなのです。


「でも、頼れる奴は誰もいねーし、日雇いの雑用で何とか食いつないでいるという有様さ、

  現実は甘くないよな……。」

 少年の目が少しだけ曇ります。

が、しかし、すぐに輝きを取り戻すと元気に続けます。

「だから、お前みたいに小さい奴が働いているのを見ると尊敬しちまうよ。」

 悪い子じゃないみたい……。と思いかけて首を振りました。

 ダメダメ!気を許すと何されるか分からないです!

 そもそも話の流れを聞く限りではアナタ、私より年下ですよぅ~~!


そんな私の思惑をよそに少年は続けます。

「宿へ泊まる金なんてねーから野宿だし、

  何とか貯めた金でボロイ中古の剣を手に入れ、

  旅の装備整えて 帝都ミカエルで名を上げてやろうって所さ。君は?」


…………………………。」


 やはり私は答えません。

 少年が、私を『年下の男の子』だと思っているらしいことも理由の一つです。

あまり喋ると女だということがバレますし。


「まぁ、いいや。帝都まではまだ何日もあるさ。」

 少年はその後も私の隣にずっと並んで歩き 与太話をしてきましたが、

ムリに質問をしてくることはなくなりました。




 キャラバン隊は毎日進んでは野営を繰り返し、少しずつ帝都に近づいていきます。

 時には獰猛な狼や獣等に出会うこともありますが、

キャラバン隊おつきの衛兵8人が交代制で常に見張っているので、たいてい片付けてくれます。


 キャラバン隊に荷物を預けているわけでもないのに、私たち一般旅行者が

キャラバン隊と行動を共にする最大の理由がこれなんですよね。


 この少年も衛兵や、ベテラン冒険者に混じって一緒に戦ってはくれるのですが、

専門的訓練を受けているわけではないので当然素人丸出し。

危なっかしくて とても見れたものではありません。


 しかも持っている武器は古臭い青銅の鋳造剣。

それも中古だというのですから使用中に折れないか気が気ではないです。

私が戦った方が幾分マシなんじゃ?


 刀剣鍛冶である以上、私もある程度の武器の扱いは出来ますから そう思ってしまうのです。

もちろん口には出さず、戦いにも参加しませんけど!




 そしてその日の夜の野営にて……

 食事を済ませ、寝る前に焚き火を囲んでしばし団欒の時間です。

「見たか?俺の剣さばき!ちったぁ 様になってきた気がするんだよなぁ~。」


『いえいえ、全然ダメダメのトーシロですよ!』(--#)


「狼の背後にザクッと一太刀! あれはキマったなぁ。」


『衛兵さんの抵抗で、尻尾巻いて逃げ出した奴に切りつけただけじゃないですか!』(--#)


「う~~ん、こんな話しても面白くないかな?」

 私の仏頂面を勘違いして、少年の声のトーンが急に下がります。


「迷惑だったらやめるよ……でも、お前見てると死んだ弟のように思っちまうんだよなァ。」

「弟?」

 つい反射的に口に出してしまいました。

「お、珍しいな!俺の話に食いついてくるなんて。」

 こうなると流れ上聞かないわけにはいきません。

2年前、村を襲ってきた狼にやられちまったんだ……。」

 悲しそうな瞳は焚き火の炎に照らされてユラユラと揺れます。

「狼なんて大きな犬と大差ないのにさ、群れで襲ってくる怖さで何も出来なかったよ。

  弟を守れない自分の無力さを呪ったさ、

  俺は強くなりたい少なくとも身内を守れるくらいには……。」


 悔しさでゆがむ顔には子供らしさはどこにもありません。

騎士になりたいというのは、単なる憧れ以上のものがあるようです。


 でも、私は現実も知っているのです。そうやって力を求めても、

実際に手にするまでに至った者は ほんの一握りだということを


 わたしは少年に同調することも、その無謀な夢を否定することも出来ず、

その日は床につきました。




 翌日は水分&食糧補給のため、近くの小さな町に寄ることになりました。

 村とは違う 久しぶりの都会(というほどの物でもないですけど)の空気に

私の心も少し明るくなり、早速大通りで商売!


「旅のお供に武器はどうですかぁ~?そこらの武器屋より2割は安いですよ~。」


 安いというか、質ではほかの武器屋の上物とは勝負にならないので、

安くするしか手がないのが実情ですけど。


「ゴルァ!誰に断って商売しとんじゃい!」


 あわわ、やっぱり来ました地元露店を仕切るヤクザ者~。

 ちょっとでも大きい町に来ると大抵いる疫病神のような連中です。

スタコラサッサなのです。


「あ、コラまてぇい!」


 もう半年も同じようなことを繰り返しているので 逃げ足には自信がついています。

捕まえられるモンなら捕まえてみやがれです!


「こンのチビぃ~、またんかぁ!」

 人ごみをスルスルと駆け抜ける小さい私。

こんな時ばかり低い身長が役に立つんですよね

しかし、相手も思ったより上手く追いかけてきます。


「きみ!こっちへ


 路地の一つに騎士志望のあの少年が見えました。

 私は追っ手に見られていないことを確認すると反射的に飛び込み、

リュックを路地に置かれた貯蔵樽の陰に隠します。

 後は外套を脱いで樽の上に座り、少年と話し込んでいるフリをします。

ヤクザは一瞬こちらの路地を覗きますが、フードで顔を見られてなかったこともあるのでしょう。

上手い具合に話し込む兄弟に見えたようで、樽の陰にあるリュックに気付きもしませんでした。


「ふう、行ったみたいだぜ。」

 表通りを覗きながら少年が言います。

「助けてくれなんて言ってないです。」

ムスッ!

「飛び込んできておいて言う台詞かよ~。」

 呆れる少年。まぁ、無理もないですけど。



 それからは私たちは共に行動します。

 目立つリュックを背負っているので、一人のままだとあのヤクザに怪しまれるかもしれませんしね。


「何か食べようぜ。」

 街の陽気に踊らされているのか、気軽に言ってくれちゃいます。


「お金ないです。」

 武器が一つも売れていないのにあるわけがありません。

日々の食事を道中の動植物で済ませているくらいですから


「安心しろ、俺のおごりだ。」

 同じ金欠なのに無理しちゃって…。と思いつつもしっかり串ケバブをご馳走になる私。

ううう、お肉には勝てません。

 お酒も所望したいところですが、

さすがに年上のドワーフ族だとバレそうなので止めておきました、グスン。


「言っておくが、私はオマエの弟ではないのだゾ。」

 あまりの人の良さに『まだ世間の荒波に揉まれていないのか!』と腹立たしささえ覚えます。


「ンなこたぁ 分かってるよ。俺がしてやりたいだけさ。

  今のご時勢どこへ行っても暗い話ばかりだからな。

  旅の先々でも『俺みたいな若造相手に小銭かすめ取って恥ずかしくないのかよ!』

  と思う大人ばかりだった。

  だからさ、お前みたいなちっこいのには、ついつい甘くなっちまうんだよな……。」


 私は少し恥じました。

 子供っぽい夢だとか、世間知らずだとか嗤っているつもりが、

彼はそれらをすべて分かっていながら、腐らずにこの性格を維持しているのです。

ここまで来ると尊敬に値します。


 その日以降、私は少しずつ彼と話をするようになりました。

け、け、決して心を許した訳じゃないですよ!




 帝都ミカエルにもだいぶ近づき、越えるべき最後の山が見えてきました。

それはそびえ立つ最後の砦のようにも見えます。

 キャラバンの面子も出発時とは様変わりし、半数は違う顔ぶれになっています。

 そして今は荷馬車の馬を休ませるために川沿いの草原で休憩中。

 皆、ここぞとばかりに飲み水の補給と水浴び&洗濯。当然私たちも汗をぬぐいに川へ入ります。


「ん?お前なんで服着たままなんだ?」

 少年が川に入りながら私に聞いてきます。

 田舎町では、女性ですら裸で水浴びするのは日常光景。

特に恥ずかしいものではないので、服を着たままの私は変に見えたのでしょうね。


『もちろんアナタに女であることがバレないようにですよ~!』

 と、心の中で返答。それ以外は無視します。


「男が恥ずかしがって どーすンだよ、男はもっとドッシリ構えてだなァ……

 少年は川の中、素っ裸で腕組み仁王立ち。

股間のアレがブラブラと揺れています……。(― ―#)


「羞恥心皆無なのも問題ですよ!」

 と言いつつ、怪しまれるのも面倒なので服を脱ぎ始めました。

 悲しいことにもともと胸は無いため、お股さえ見られなければまずバレないでしょう。

ふぇ~ん!


「前から思ってたけど、お前の服って変わった服だよな~。」

 マテラ地方の女物ドワーフ族の旅着なんてあまり見ないはずですから当然ですね。


「そーですか?」

 話には乗らず適当に流します。

「お?こうしてジックリ見ると、お前結構いいイケメン顔してるな。

  デカくなったらモテるぞ!ハハハハ。」


 中性的という意味でしょうかねぇ。う~ン、

褒めてもらえるのは嬉しいですけど、イケメンって複雑です……

 まぁ、性別が誤魔化せてる証なんでしょうけど……ブクブクブク(#水没中


 汗を流し終えると、しばらくは腰巻一つで服が乾くのを待ちます。

ドワーフ族の腰巻は男女差がないのでこういう時は助かるのです。


「いい天気だな、帝都までこの天気が持つといいんだが……。」

 少年は川岸で仰向けになりながらつぶやきます。

 山裾の小川の景色は良好で、空を見上げると雲ひとつない まさに晴天。

ジッと見つめていると吸い込まれそう…


 私も思わずつられて少年の隣に倒れこみました。

「なぁ お前、帝都に着いたら行くあてはあるのか?」

 私は無言で首をフルフル。

「じゃあさ、俺と組まねぇか?」

「え?」

 一瞬男の子を演じるのを忘れて 素で反応してしまいました。

 その時です。


ヒュッ、ヒュンッ!


「ウッ!」

「ぐぁッ!」


 かすかな風きり音がしたかと思うと、衛兵さんたちのうめき声。

 そちらの方へ視線を向けると、見張り番の衛兵さんの首や胸に矢が刺さっています。


「強盗かッ!?

 キャラバンの誰かが叫びます。どうやら本当に盗賊のようです。

 街道脇に止めたキャラバンの荷馬車を前後から挟むように

道沿いの木の陰に一人ずつ射手の影。

肌が青白いグレーなので、たぶんダークエルフ族でしょう。


「そんなこんな真っ昼間から!?


「敵襲ーーーーッ!」


 残りの衛兵さん達が叫びます。

まずいのは、番をしている衛兵以外はみんな裸同然の格好だということです。


「水浴びで無防備になるのを待っていやがったんだな!

  この陽気だし、これだけ明るいと衛兵も気が緩む。」


『昼間は襲ってくるまい』という虚をつかれた形です。

 皆はあわてて護身用の武器(と言っても短剣ですが。)

を取りに服に駆け寄ります。少年も自分の剣を手にとっています。

 私はというと武器は服ではなくリュックの中なので、

荷物をかためてある荷馬車の隣に迷わず向かいます。


 しかしこれらの時間は致命的なタイムラグ。

盗賊たちにとっては最初から計算のウチの謀略です。

 キャラバンの衛兵は8人ですが、半数の4人は私達と一緒に休んでいたはず。

弓でやられた2人を引算すると、たった2人で盗賊に対抗せねばならない計算です。

 岩陰や茂みから出てくる盗賊は意外と数が少なく8人ほどですが、

動きが素早く 手際の良さも普通じゃありません。


 残っていた衛兵二人も、茂みから疾風のように飛び出してきた猫獣人

ミーア族のステルス・キルと、岩陰から出てきたオーク族の巨漢が振るう棍棒の前に倒れました。


『ダークエルフの弓兵に、オーク族やミーア族!? ただの盗賊じゃない!』


 種族によっては仲の悪い組み合わせもあるので、

こんな異種族混合の盗賊なんてそうそう居ません。

明らかに場数を踏んだベテラン盗賊です。


 それを証明するかのように 武装した衛兵を真っ先に倒すばかりでなく、

休憩中だった非武装の衛兵も素早く割り出し、真っ先に弓の餌食にしました。


「衛兵が全滅した!皆気を引き締めろ!」

 キャラバンの誰かの叫び声。中には荷物を放り出して逃げ出すものも居ました。

このままじゃ混乱の中、虐殺された上に荷物を奪われちゃうのです。


「女は傷をつけるなよ!それ以外は皆殺しにしろ!」

 盗賊のリーダーらしき人間の中年男が余裕たっぷりに後から出てきます。

こちらの士気はガタガタ、しかも残っているのはただの旅行者や商人。

 中には剣も扱えるベテラン冒険者も居ますが、

みんな短剣一つに腰巻一枚という格好なのでさほど有利には働かないでしょう。

『せめてまともな武器があれば!』

 私はなんとかリュックまでたどり着くと 決断します。


「みんな、この武器を使うです!」


 そう叫んだ後、私はリュックの中身をぶちまけました。

 まだ、一つも売れていない未熟な武器たち……でも、何もないよりはマシなのです!


 もともと本能的に荷物を守ろうと荷馬車に集まりつつあった皆は、

すぐさま私の武器たちに飛びつきます。

 扱い方が分からなくてもリーチのある武器の方が安心できるからでしょうか、

吟味されること無く丈の長い剣からなくなっていきます。

 私も愛用の両手用大ハンマーを取り出すと構えました。いつでも来やがれなのです!


「お前、いったい何モンなんだ?」

 隣についた少年が驚き顔で聞いてきます。

彼にしてみれば、自分より年下の子供が 大量に鉄製の武器を持っていたのですから 謎でしょう。



「話は後です!」

 盗賊達は待ってはくれません。皆は荷馬車を中心に円を作ると

私の武器を突き出し盗賊に抵抗します。


 素人集団とはいえ、こちらは三十人あまり。

相手がいくらベテラン盗賊であろうと夜襲ではないので多勢に無勢なはず……


 しかし、またも矢が飛んでくると何人かが倒れました。

立ち直りかけた士気が再び下がります。


「フハハハハ!烏合の衆に何が出来る。」

 盗賊のリーダーが威嚇も兼ねた台詞をはきました。


「誰か弓兵を!」

 これ以上相手を喋らせるとこちらの士気が持ちません。私は負けじと大声で叫びます。

 すぐさま何人かのベテラン冒険者たちは反応し、

短剣を投げつけ二人の射手を始末します。助かる~。


「クソッ、弱者はおとなしく蹂躙されてろっ!」

 盗賊たちは、まさか全員分の武器があるとは思ってなかったのでしょう。

射手を失ったことで動揺が行動に出ました。

 愚かなことに、数で勝る相手に力でゴリ押しをしに来たのです。

ここはテダレらしくない行動。ひょっともすると 彼は人望のないリーダーで、

この襲撃が失敗すると仲間内での立場がヤバくなるのかもしれません。

何にせよこちらにとっては好都合。


「相手は動揺してます!一人に三人ずつ当たれば勝てるです!」

 私は声の限り叫びます。

 すると盗賊のリーダーは私が司令塔と察知したのか、こちらに向かって襲ってきました。


「こンのガキがぁッ!」


「させるかぁ!」


 青銅の剣を持った少年が、間に割って入り立ちふさがります。

 有難いですけど、アナタでは役者不足ですよっ!


「うせろ青二才ッ!」

 太めの小剣ロングサクスを振り下ろす盗賊リーダー。

少年は銅剣を横向きにして受けようとしますが……


バキーーーーーン!


 鉄のサクスの一撃に、使い古しの青銅剣はもちませんでした。

受けた所から砕け真っ二つ。


 盗賊リーダーはそのままサクスを振り切り、少年の胸板を斜めに切り裂きます。

何もつけていない裸のその胸はザックリと斬られ鮮血が飛び散りました。

 その光景はスローモーションのように私の目に焼きつきます。

そしてなぜか夢を語る少年の横顔を思い出しました。


 私は基本的に争いごとは嫌いです。

でも、こんな理不尽に奪われて良い夢などあってはいけない……

あってたまるモンですか!


「わあぁぁぁ!」


 得体の知れない感情に突き動かされ、私は渾身の力を込めてハンマーを振ります。

血に染まったサクスめがけて!


ガキイイン!



 サクスは盗賊リーダーの手から放り出され、すっ飛んでいきました。

 しかし、私はそこからどうするかは何も考えていません。

盗賊リーダーが腰の短剣に手を伸ばすのが見えました。


『しまった……。』



 瞬間的に自分の死を悟りました。

振りぬいたハンマーなど、すぐに引き起こすことは出来ないからです。

 視界から色が無くなり音も小さくなっていきます。


「危ない!」

ドズッ!

 そこに私の剣を持ったベテラン冒険者が、

横からのタックル突きで盗賊リーダーのわき腹に一撃!

 渾身の吶喊は胴鎧の隙間に深く滑り込み、絶命させました。

急に視界に映るものの動きが早くなります。音も戻ってきました。


 辺りを見回すと盗賊達は完全に守勢になり、徐々に包囲網は崩れていきます。


 ミーア族の盗賊が四足ダッシュで逃亡を始めると、盗賊たちの士気は崩壊。

あっという間に散り散りに。

 逃げずに最後まで抵抗していたオーク族の大男も、

キャラバン隊の十人に取り囲まれると四方八方から突き刺され、

最終的には失血で動けなくなったところに止めを刺されます。

 私たち素人集団は、こうして何とか勝てたのです。



 とはいえ、犠牲はとても大きなものでした。

 衛兵さんたち八人は全員死亡。キャラバンのメンバーも四人亡くなりました。

 負傷者は十二名。女性は私を除いて五名なので、

現在実質まともに戦える人の人数は十名くらいです。


 その中にベテラン冒険者は三人居ますが、

あくまで長旅の場数を踏んでいると言うだけで、戦闘のプロではありません。

 これからはこの状態で帝都まで辿り着かなければならないのです。


 また、例の少年は特に重症です。

 胸の傷は心臓や肺と言った器官は損傷させていないものの、

ザックリ切られた傷口は広く、肋骨も何本か折れて(切れて?)おり、出血が止まりません。

 胸に当てた大量の布はみるみる血に染まります。


「ひゅう、ひゅぅ、ゴフッゴフッ……、俺……死ぬのか?」

 肺も気管も無傷なはずなのに、痛みからか、咳き込む少年。

「頑張るです!傷口が広いだけです。」

 胸の布を押さえながら、気休めだけでも言うしかありません。

「オマエ、女だったんだな。」

 少年はそう呟いて気を失いました。

 そこで始めて私は自分の腰巻がとっくに取れて、素っ裸で居ることに気がついたのです。


「死んじゃダメですよぅ、叶えたい夢があるんでしょ!」

 揺さぶりたい所ですが、それも出来ません。


 何も出来ずにいる私たちを救ったのはまたもベテラン冒険者の方々でした。

 さまざまな傷の対処法を知っており、この少年ほどの重傷でも 傷を縫合することに成功。

 さらに幸運なことに、キャラバン隊に薬草商の人がおり、

この方が荷物を使用して少年や皆の応急処置が出来たのです。(当然無償ではないですけど。)


 もちろん少年以外の負傷者は、命に係わるほどの傷ではないので無事です。

「それにしても君の武器は役に立ってくれたよ。」

「こんな鉄の塊でも、やっぱりあると安心感が違うものだな。」

「それより服を着てくれ、目のやり場に困る……。」


 キャラバン隊の皆が口々に私の武器を有難がってくれ、

約半数の方がそのまま買取を申し出てくれたのです。やったーー!


 さすがに自前の武器を持っているベテラン勢は買うまでには至りませんでしたが、

『使ってしまった』ということで、

『使用料』なる少しばかりのお金を支払ってくれました。


 郷(さと)を出て半年、私はようやく世界の温かさの片鱗を知ることができた気がしました。

こんなに嬉しいことはないです。



「さぁ みんな、キツイかもしれないが歩こう。できるだけ早く帝都に向かった方がいい。」

 頭に包帯を巻いた隊商のリーダーさんが言い出します。

旅の期間が長ければ長いほど危険度は増します、

ましてや今はまともな護衛が居ない状態。つらくても誰も反対しませんでした。



 そして四日後……。山を越えた私たちは無事帝都ミカエルに到着。

 全員入都手続きを済ませると、衛兵に事情を話し

負傷者を施療院に収容してもらえるよう交渉します。

 最初は渋い顔をされましたが、

荷馬車で運ばれている例の少年の容態を見るとすぐに許可がおりました。

 傷による負傷なら、医術士の魔法ですぐに塞げるので直りは早いでしょう。

これでもう大丈夫……

と思ったのは私の浅はかな考えでした。


「ハハ……こんな怪我して 剣も失ってまた振り出しか。俺、この世界に嫌われてんのか?、」

 即席の担架にのせられたまま、少年は呟きます。その閉じた目からは一筋の涙。

 これまでどんな苦境でも屈しないと思っていた少年が、初めて見せた弱みです。


 盗賊の無慈悲な攻撃は、少年の剣だけでなく、心をも折ってしまっていたのでした。

 ただの中古の青銅剣。しかし少年にとっては唯一の心の拠り所だったのでしょう、

その思いは痛いほど伝わってきます。

 私は決心し、宣言します。


「なら、私がアナタの剣を作るです。

  アナタは私を守ろうとしてくれたです。アナタの夢をここで終わらせはしないのです!」


 少年は私が刀剣鍛冶であることを知りませんから、当然不思議な顔をしていました。

それから私はミカエル中の鍛冶屋を片っ端から当たり、

鍛冶場を貸してもらえるよう交渉に駆け回ります。


 殆どで嫌な顔をされましたが、ドワーフ族ゆかりの工場(こうば)を借りることに成功。

練習を除けば、生まれて初めて郷以外でする 本気の武器製作を始めます。

まだ駆け出しながらも、持てるノウハウと思いの術(すべ)全てをつぎ込んで


 時間はかけられません。少年は病気ではなく怪我なので、

医術士に掛かれば数日で完全に治ってしまいます。

 その時に稼ぐための道具、『剣』がなければ

おそらく彼は剣士ではなく、ただの日雇い労働者へと逆戻りです。

 そして二度とそこから這い上がれなくなるのでしょう。心が折れるとはそういうことなのです。


 生まれて初めての三日貫徹。試しの一本と真打の一本、この時の私ができる最高の仕事でした。




 帝都について四日目。私は施療院から退院して出てくる少年を迎えます。

「よう……。」

 あまり明るくない少年の顔。その瞳はまさに腐った魚の目です。

「これをあげます。」

 私は布巻きの剣を差し出します。

 帝都内の平民はダガー以上の大型刃物は携帯禁止(貴族は別です)なので

抜き身のままでは渡せません。

 しかし、一度でも剣を握ったことがある人なら、

グリップ部分を見ただけで中身がなんなのかはわかります。

「これは。」


「夢を語るあなたの目は濁っていなかったです、

こんな世界に負けるなです!恐れんなです!

私だって戦ってるです、この腐った世界と‼」



 私の言葉に気圧されるように無言でグリップをつかむ少年。

やはり心底の野心の火は消えていなかったのでしょう。曇った瞳に光が灯ります。

そしてそれは一気に大きくなり、炎となりました。


「そうだよな騎士を目指すなら、この先命がけのことなんて山ほどあるはず。

  この程度でビビッてヤメちまうようでは、話にならねぇよな!」


シュるりッ!


 巻かれた布を取り、抜き身の剣をかかげます。

 おそらく初めて手にするであろう鋼鉄製の剣。

刀身に浮き出た折り返し鍛錬の模様に目が釘付けです。


 その瞳は旅の道中でまれに見る野心家と同じ目になっていました。

この瞬間、彼は完全にこの冷たい世界に抗うと覚悟を決めたようです。


「こりゃー!そこで何をしてるっ!」

 見回りの憲兵が目ざとく剣を見つけたようです。

さすがは帝都、治安維持には力を入れていますね。


「あわわどうしよう。これまずいんじゃないか?」

 少年の凛々しい顔がアッと言う間にくずれます。

ここら辺はやっぱり子供っぽいですね。


「私は小鍛冶職人。逃げると怪しまれますから、

このまま堂々と『お客に納品』という形を取った方が無難ですよ~。」

にへっ。



 その後、しばらく憲兵隊に職務質問等、色々クドクドと説教は食らったものの、

外から持ち込んだものではないのでお咎めは無しでした。

 解放された私たちは再び二人きり


「色々世話になったな。」

「こちらも色々なお話、だいぶ楽しかったですよ~。」

「剣の代金は、取り合えず持ってるだけ払っておく。」

 少年はわずかばかりのルビド銅貨を出してきます。

おそらく防具などの装備を売って治療費を払った残りでしょう。


「別に出世払いで良いですよぅ。純粋に私が応援したいってのもありますから。」

にぱぁ~。

「そういうわけにはいかねぇよ。一応男だしな。足りない分もいずれ払う!」

 ボロボロなシャツの胸元をトンと叩く少年。

はだけたV字の襟元からは、真新しい傷跡が覗かせています。


「俺はハンス。ハンス=リヒテナウアー。10年後には世界に轟いているはずの名さ!」

「私はナナ。ナナ=メッサーシュミート。いつか世界最高の武器を造る刀鍛冶です!」




「と、そこで彼とは別れましたね。」

「ふ~ん、色々あったのねぇ。」

 じっくり聞いてくれていたレイさんが優しく見つめてくれます。

「あれ?じゃあ、やっぱり赤字じゃないの?」

「少年の剣は確かにそうなんですけど、

  キャラバンの人々に色々買い取ってもらえたのが大きくて、

  しばらくミカエルに滞在してましたね。

  そこで最新の武器事情や技法も知ることができましたし、意味はありました。」


「そのまま帝都で働こうとは思わなかったの?」

「う~ん。あそこの鍛冶屋同士はみんなライバル心むき出しで、非常に仲が悪いんですよぅ。

  ギルドも複数あって、その中でもさらに派閥があってややこしいですし、

  私みたいなぺーぺーの新人なんか邪魔者扱いです。

  嫌がらせも散々されたんで、頭にきて技術を盗むとさっさと出ちゃいました。」

「フフフ、苦労してるわね。」

「その後 ある出来事で師匠の弟子になって~、しごかれて~、

ある日突然師匠が居なくなっちゃったんでまた放浪して~、

紆余曲折を経てメタトロン(ここ)に辿り着きました。」

「そうだったんだ……。」

「はいです。」

「で、その後、その少年とはどうなったの?」

 なぜかレイさんは、目にイヤらしい光を帯びながら聞いてきます。


「え?それっきり会ってませんよぉ、そもそも連絡の取りようもありませんし。」

「なぁ~んだ、ツマンナイわねー。ナナちゃんはまだまだお子様か。」

「むぅ!私はもう22の大人ですぅ!」

 私は子供のように頬を膨らませてそっぽを向きました。

(おしまい)



【ナナちゃんコラム ~スクラマサクス(scramasax

           ショート ソード(short sword)~】

※長さや重さの単位は、作中世界のもの になっているので少しわかりづらいかもしれません。




 ロングソードや、ショートボゥの回を読んでいただいた方なら、

もう大体想像がつくかとは思いますが、

ショートソードとは、ロングソードに対する対義語なので

固有の武器を表す武器名称ではありません。

 乱暴に言ってしまえば、

『ダガー以上、ロングソード未満の刀剣全般』
といえます。

現在では7080サンチ(㎝)前後の長さのものを

『ショートソード』
と定義されている感じですね。

 これも人や書物によって意見が曖昧なので断言はできません。
(なぜかヴィーキングたちが用いた片手剣はこの範疇に入るものだとしても
『ショートソードと』呼ばれることは少ないです。)






 両刃のものだけでなく、片刀である

フォールション{ファルシオン}falchion)

メッサー{グロス・メッサー}(messer {große messer})


そして17世紀の

ブロードソードbroad sword)スモールソードsmall sword)


60
サンチ前後でギリギリですが、

ハンガー{カットラス}hangercutlass})


はては古代ローマ帝国のグラディウス (gladius)すらもショートソードと呼ばれます。
(もともとグラディウスとはラテン語で剣のこと。)





また、ロングソードがホースマンズソードhorseman's sword

という呼び方もされるのに対し、

ショートソードはフットマンズソードfootman's swordという言い方もします。
(ただ、完全にイコールで同じものとするのは危険です。
  ショート ソードという呼び方は、中世当時の呼び方ではないので…。)



ショートソードとは、どちらかと言うと

カテゴリー名と言ったほうが、ニュアンスは近い

かもしれません。



 このタイプの武器の考え方としては、

大型のダガーをもっと長くして主力武器にしようとした発展系のものと、

馬上で使うことも想定していた長いロングソード等を

下馬状態でも扱いやすくもっと短くしようという

先祖がえりのような考えの二通りがあり。

 いつの時代にもあって、非常に長く使われています。


 結局ロングソードよりショートソードの方が多用途に使えた

そんな見方もできるかもしれません。

 何を目的としているかによって、刀剣の形も名前も千変万化していく良い例といえます。

こうなると『刀剣を分類する意味とはなんなのか』ということを考えさせられますね。


 ショートソードは片手で使うことが前提で、盾をセットで使うことも多いですが、

「必ず盾を持って使うもの」とするのも危険ですね。


 軍隊ならばそろえて盾を持つでしょうが、

そこらのゴロツキがショートソードを使う時にも必ず盾を持っているかとなると、

持っていない場合も当然あるでしょう。

 「出来れば持つべきもの」とする方がよいのではないかと思います。




 劇中で盗賊のリーダーさんが使っているロングサクスも、ショートソードの一種と言えます。




サクスsax/seax/sex/sachsum/
(古ノース語。サクソン語ではセイクス、またはシーアクス)

 呼び名の通りサクソン人(アングロサクソン族)を中心に

ゲルマン民族全体が使用した短剣、小剣の総称です。

 青銅器時代からすでにサクスの原型は現れており、

民族の大移動時期から中世に至るまで長く使用され非常に幅広く使われています。


地域によって

アングロサクソン系(イギリス)、

フランク系
(フランス・ドイツ)、

ノース系
(スカンジナビア半島)

の3系統に大まかに分類され特徴が違うようですね。

【アングロサクソン系】

 切っ先の峰がかけたブロークンバックと呼ばれるタイプ

【フランク系】

切っ先の背が緩やかにカーブしているタイプ

【ノース系】

峰がまっすぐなタイプとブロークンバックの併用



 長さも幅が広く、シュミット分類法によると、

 ショートサクス
(全長2650サンチ、刃渡り182サンチ、幅2.23.2サンチ

 ナローサクス
(全長3252サンチ、刃渡り2437サンチ、幅2.23.6サンチ

 ライトブロードサクス
(全長3252サンチ、刃渡り2428サンチ、幅3.64.サンチ

 ヘビーブロードサクス
(全長4570サンチ、刃渡り3750サンチ、幅4.35.2サンチ

 ロングサクス
(全長5894サンチ、刃渡り5080サンチ、幅4.35.2サンチ

 ナローロングサクス
(刃渡り5080サンチ、幅34.3サンチ)に分かれるようです。

なぜか参考にしている書籍にはナローロングサクスの全長が書かれていない。)

 大きいものはもうショートソードと呼ぶのがはばかれるサイズになります。

サクスという言葉が刃物全般を指す言葉で、

短剣から片手剣サイズまでをも含む名称であることがよくわかります。


 日本ではとりわけ戦闘用に使われたものを

スクラマサクスscramasaxと呼んだりしますが、

この言葉は6世紀後半にトゥールのグレゴリウスによって書かれた

『フランク族の歴史』にたった1回登場するだけで、

それがどのようなものなのかがまったく言及されていないため、

現在の学者はスクラマサクスという言葉自体使うことを避けているそうです……

 ってクレイモアに続いてまたですか〜!




あとがき
今回のコラムは、ショートソードの代表として主にサクスの解説になっています。
この先いろいろと個別の武器をやっていくことになるとは思いますけど、
ショートソードのおおもとの元は何だろうと考えましたら、
やっぱりサクスなんじゃないかという結論に至りました。

ただ、当然初期の物はダガーサイズから始まっているものなので
完全に「ショートソードである」と言い切ることが出来ないものでもあります。
当時使っていた人達にしてみれば、多少の長さの違いは気にしていないでしょうしね。
現代人はなんでも細かく区別したがるのが悪い癖なのよ~。

いまだに日本ではスクラマサクスという名称が跋扈しているんですが、
参考にしている本にて
「現在の学者はスクラマサクスという言葉自体の使用を避けている」
と知った時は驚いたものです。

 後、先ほどウィキペディアでショートソードをググってみたら
なぜかショートソードそのものの説明よりロングソードの誕生と区別用法が書かれていて
ショートソードとロングソードの区別は長さではなくて、
それを扱う兵種である、
どんなに刀身が長くても歩兵が持つ剣は全てショートソードであり、
騎兵が持つ剣は全てロングソードである

などと書かれていてちょっと吹きそうになりました。

いや、言いたい意味はわかるんですが、
それはフットマンズソードとホースマンズソードとしての分け方でしょ!
と突っ込みたくなります。

だって…それなら何で「ショートソード/ロングソード」と呼ぶのさ!
長さで分けてるからでしょ…。
大体どこの書物も数値的長さでショートソードを定義していますしねぇ。

もともとこのコラムコーナーで武器の分類はあいまいと散々書いているのは
こうやって言い切ることが出来ないからなんですよ。

だからホースマンズソードより長いフットマンズソードもありえる
と書いてあるなら、意味合い的に納得できるんですが、

それをロングソードより長いショートソードもありえると書いてあるとかいてあると
言葉として矛盾しているのでおかしいんですよ。
書き込んだ人は疑問に思わなかったのかなぁ。
(え?お前が書き直せって?嫌です、そんなオソロシイ…。)

ショートソードとフットマンズソードは完全=(イコール)と思い込むのは非常に危険。
あいまいだからこそ「イコールだ」と言い切れないんです。
ショートソードは長さで分類されているからこその名称なんですもの。

これを見てしまったせいで、コラムの文章にも
完全にイコールで同じものとするのは危険です。
との一文を追加してしまいました。


閑話休題


それにしても 今回は参った…。
挿絵をいつものように入れようとしていたんですが、
しばらく書いていなかったせいで画力がトンと落ちてまして、
とても人様に見せられるものではない物になっておりました(笑)
一週遅れたのは四苦八苦したためです。え?結果はって?
上手くいったら今回載せてますよ!

リマ(忍)「ぷらもでるの作りすぎですね。」

ジュリエット(蝶)「玩具で遊びすぎだね!」

やめてぇ~~!(脱兎の勢いで逃げていく。)

次回は予定通り物が来れば、多分LGゴッドボンバーになるんじゃないかな?
来なかったら何とかしよう!(をい)
さて、レイファルクスを組まねば…。(反省の色皆無)
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2017-05-27 : 鋼の詩(はがねのうた) : コメント : 0 : トラックバック : 0
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プロフィール

MITAKEN0

Author:MITAKEN0
F井県E市に生息中のキモヲタ。

好物は武装神姫、トランスフォーマー、LEGO、萌系フィギュア。
神姫NETの公式SS板でワンユニット師だった経歴を持つ。
無類の巨乳好き♡

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